雨音工房

主に声優・アニメ楽曲のコード進行を解説していきます。たまにガジェットの話題をやるかもしれません

【コード進行解説】雨宮天 PARADOX

昨日動画も出したしあとはコード解析すればライブの準備は万端なのでは?ということで解説していきます。

 

 

1.導入

Key=A♭majですね。いろんなところで言ってる気がしますがカップリングまでメジャーキーのシングルは雨宮天さん史上初ではないでしょうか?

 

2.イントロ

0サビは他のサビと同じなので省略。ブラスが入るとI→V→VIm→IIIm→IV | V→IIIm | VIm→IIm→Vと、カノン進行からの王道進行、ツーファイブとドベタ街道。カノン進行ってI→V/7→VIm→IIIm/5 or V→IV→I/3 or IIIm→II→Vが有名になりすぎて本筋みたいになりがちですが、大元はI→V→VIm→IIIm→IV→I→IV→Vという進行です。

 

3.Aメロ

基本はIVM7→N.C.→IIIm→VIm→IIm→V→I→Iです。イントロ末尾からいきなり全音下がってサブドミナントから始まるので若干身構えますがその後は何事もなかったかのように強進行してツーファイブワン。2巡目はVImだった箇所がVI | VImに置き換えられていて全体として次のIImに対するセカンダリドミナントになっています。

 

4.Bメロ

IVM7→IVm→IIIm→VIm→IIm→IIm→V→V→♭VI Vです。SD→D→Tの流れをSD→SDm→Tに置き換えることがよくあるように、前半4小節は王道進行のドミナントサブドミナントマイナーに置き換えていますね。この箇所はいろいろと弄りがいのある箇所なので然るべき時にまた説明したいと思います。後半は最近流行りのツーファイブからの♭VI→♭VIIか?と思わせといてVに戻ってくるスタイルです。一瞬スケールが変わったような感覚になりますがすぐにA♭アイオニアンの世界へ引き戻されます。

 

5.サビ

I→V→VIm→IIIm→IV | V→IIIm | VIm→IIm→V→I→V→VIm→IIIm→IV | V→IIIm | VIm→IIm→IIm→IVm→V、あれイントロと殆ど同じですね。最後の部分でツーファイブとならずドミナントサブドミナントマイナーに置き換えています。

 

6.間奏・Cメロ

I→I/♭7→VIm→♭VI→I→I/♭7→VIm→♭VI | ♭VIIです。

I/♭7→VImに関しては、A♭/G♭をA♭7の転回形と見ると解決先はD♭ですが、D♭アイオニアンの世界ではFmは代理トニックとなっていますね。

VIm→♭VIは半音下降ですが、♭VI→Iは、例えばIのサブドミナントマイナーのIVm7を想定してルートを省略すると結果的に♭VIの形になります。

最後はお待ちかねの♭VI | ♭VIIをぶち込んでくれました。

唄が入るとIVM7→V→IIIm→VIm→IIm→III7→VIm | ♭VIaug→I/5 | #IVm7-5→IVM7→V→III7/#5→VIm→IIm→IIm→V→Vと進みます。

最初の4小節は王道進行、次は進行先のVImを見据えたサブドミナントマイナードミナントの流れ、そこから半音でD♭までベースを下らせ、再び王道進行...ではなくIIImの代わりにVImセカンダリドミナントを半音下からアプローチさせます。最後はツーファイブで〆。

 

7.落ちサビ

I→V→VIm→IIIm→IV | V→IIIm | VIm→IVM7 | #IVm7-5→♭VI | Vです。

#IVm7-5は最近頻出のアニソンにありがちですが、A♭リディアンの世界から借りてきたモーダルインターチェンジコードですね。進行先はE♭ですがこれのセカンダリドミナントB♭7(9)からルートを省略すればこの形です。実際にはいきなりVには進まずに♭VIを挟んでから解決、という流れになっています。

 

雨宮天さんはマイナーキーの曲が大半、という印象を5年継続していらっしゃる中でこの旋風、いつもの(o・∇・o)や(*>△<)への悪戯のごとく何か企んでいらっしゃるんじゃないかとすごくワクワクしております。ライブは本人の意向で生バンドらしいので。

 

余談ですが歌詞で「解決できない~」と歌っている箇所で鳴っているのはサブドミナントマイナーのD♭mですが、その後しっかりA♭に解決しているのでthinking faceの顔つきになりました。

では。