今までの記事にした曲にブルーススケールを取り入れたものがなかったな~とふと思ったので書いていきます。
1.導入
イントロ、Aメロ、サビはEmaj、BメロはGmajです。間奏部分はYouTubeのコメント欄にも書きましたがコロコロ転調する部分があるので別途解説したいと思います。
2.ブルーススケールとは
2はイントロじゃないのか???って感じですが、イントロからいきなりブルーススケールがあるのでまずはそれについて。
歴史的な経緯や種類はさておき、この曲のイントロやAメロに登場するブルーススケールは次のようになっています。もっとブルーススケールについて知りたい方は是非ご自身で深堀りしてみてください(書くのが面倒とか言っちゃいけない)
E Blues:E,G,A,A#,B,D (R,♭3,4,#4,5,♭7)
この曲には#4の音は出てきませんが、代表的なものだとかの有名な「ようこそジャパリパークへ」 (作詞・作曲・編曲:大石昌良) のAメロがこれに当たります。
ようこそジャパリパークへ - どうぶつビスケッツ×PPP
3.イントロ
本編に入りましょう。
I→IV→I→IV→V
さて、メロの方はE,D,EだとかA,G,Aだとかでブルーススケールを感じますが、コードはEメジャーのダイアトニックコードをそのまま使っています。
4.Aメロ
I→IV→I→IV→I→IV→V→V IV | ♭III IIm
イントロと同じく、コードはEmajの世界でダイアトニックなもの、メロディーはブルーススケールで作ることのできるもの、という構造です。「ようこそジャパリパークへ」のAメロも、テンションこそブルーノートが乗っていますが、コードはメジャースケールで作ることのできるコードを使っています。
5.Bメロ
IVM7→IVm7→IIIm7→VIm7→IIm7→#IVm7-5→V→III(V')
唐突に短3度上がってGmajへ転調します。サブドミナントマイナーの箇所はIVmやIVm6が使われることが多いですが、ここではメロディーと合わせて同主短調のm3の音が組み込まれています。末尾はツーファイブですが、Rel.IImをメジャーにして♭9を乗せてルートを省略したものを挟む定番の形、そして短3度下のドミナントが鳴ってEmajの世界へ戻ります。
6.サビ
I→ = →VIIm→III7→VIm7→ = →Vm→I→IV→V→#Vdim7→VIm→IIm→I/3→IVm→♭VI | ♭VII→I
前半部分はカノン進行のツーファイブ型ですが、VIIm7-5の入りそうな箇所はVIIm7で、リディアンのモーダルインターチェンジとなっています。このサウンドで思い出されるのは、やはりCINDERELLA PROJECTの歌う「Star!!」(作詞:森由里子, 作編曲:田中秀和) ではないでしょうか。
0:00~ E→D#m7 | G#7→... (I→VIIm7 | III7→... Key=Emaj) Star!! - CINDERELLA PROJECT
サビの末尾ですが、順次進行が基になっていますがIVの箇所はIVmに、そしてVを挟まずにそのまま♭VI-♭VIIに進み、解決するというエオリアンを強く感じるゾーンになっていますね。
7.Cメロ
VIm7→#IVm7-5→IVM7→I | V/7→VIm7→#IVm7-5→IIm7 | IIIm7→IVM7 | #IVm7-5→Vsus4
#IVm7-5はリディアンのモーダルインターチェンジ、V7/V、IVM7のベースを半音上げた変位和音など色んな解釈の仕方がありますが、構成音が#4,6,1,3なのでVIm6の転回形とも一致します。
8.間奏
Cメロ末尾のVの後、Emajの♭VIにあたるCM7に進んでGmajへ転調します。ここからは4小節ごとに転調するエリアです。
Gmaj:IVM7→ = →IIIm7→ =
Fmaj:IVM7→ = →IIIm7→ =
E♭maj:IVM7→ = →IIIm7→ = →IIm7→IIIm7→IVM7→V7→ =
そのキーの♭IIIM7に当たる部分で全音下の調へベースが半音ずつ下りながら転調していきます。
記憶が正しければこの曲はライブではダンスパートに割り当てられていた気がしますが、曲の拘り具合も相当高いと思います。耳に意識を集中させるかステージへの視線に全神経を注ぐか、迷いどころなのではなかったでしょうか。
神奈川公演、どうなるんでしょうね。