夏川椎菜さん、4thシングル「アンチテーゼ」の発売おめでとうございます。
ということで今回はこいつのコード進行を見ていこうと思います。
アンチテーゼ - 夏川椎菜
作詞:すりぃ 作曲:すりぃ 編曲:すりぃ
動画内でB♭♭になっている箇所は適当にAとかに読み替えてください。
1.導入
サビ、Cメロ、ギターソロ、シンセソロの箇所がC#min、それ以外の箇所がB♭minとなっています。音程を考えれば普通に短3度アップなんですが、記譜上D♭minに実音B♭♭が含まれて調合をつけることが不可能なのと、A#minが単純に個人的に読みにくいっていう理由でこの形をとっています。以上大して問題にならない情報でした。
2.イントロ
この曲のリリースがカバー歌唱の動画内でアナウンスされた「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」がリファレンスであることが出だしですぐにわかるのがこのイントロです。
I7(9)omit3,5 VII7(9)omit3,5 ♭VII7(9)omit3,5 VI7(9)omit3,5 ♭VI7(9)omit3,5→V7(9)
この時点でなんなんってなりますが、「恋?で愛?で暴君です!」みたいな「ずっとセブンスで攻める」要素に3rdを抜いてハイブリッドコードにしてメジャーともマイナーともつかない不思議な響きにしたよ、というのを半音下りでやった感じですかね。
ここを抜けるとIm7 | IVm7→Vm7 | Im7を4回繰り返します。ナチュラルマイナーなのでメジャーキーの451のような色はありませんが、なんのことはないストレートな進行です。
3.Aメロ
Im7 | IVm7→Vm7 | Im7→Im7 | IVm7→Vm7 | Im7→Im7 | Im7-5→Im7 | Im7-5→Im7 | Im7-5→Vm7 ♭VII | Im
イントロからの1451を引き継いでからのIm7 | Im7-5で一瞬ロクリアンにモーダルインターチェンジしちゃいます。エオリアンからさらに暗くなるんかいって感じですが、この箇所は歌詞もかなりネガティブなことを歌っているので、サウンドと詞がマッチしていてすごくいいと思います。
2回目は最後の小節がVm7 | Im Vaug/♭3って書いてあって末尾のイキスギコードはなんじゃってビビりますが、♭III7(9,#11)omit3,5ってことなのでつまりBメロ頭のIIm7-5に対する半音上のドミナントセブンス、ということになります。ハーフディミニッシュにセカンダリドミナントなんて想定しないやろって言われても実際に使われてしまっているので...。「理論はあくまで理論」の典型例ですね。オクテット則みたいなもんです。
4.Bメロ
IIm7-5→V ♭VI | V→Im | VIIaug→♭III/♭7 | VIm7-5→IVm7→V7 | =
非常によく練られている箇所だと個人的に思っています。マイナーキーの251をやったあとにそのままベース下降クリシェに突入、からのメジャーキーでいうところの#IVm7-5→IIm7の動きをやったかと思えばIIm7をSDmにマイナーキーのサブドミナントマイナーにそのまま読み替えてメロディックマイナーのツーファイブでBメロを締め、B♭minのセクションに区切りをつけます。
5.サビ
♭VI | ♭VII→Vm7 | Im7→♭VI | Vm7→Im7 | ♭III→♭VI | ♭VII→VIIdim7 | Im7→♭VI | ♭VII→I ♭VII VII I
これを2回やります。 メジャーキーでいうところの4536や#Vdim7を使いつつ、最後はピカルディ終止をするとかいう粋なことをしてくれます。ピカルディ終止とはマイナーコードでの解決が予想されるような箇所においてメジャーコードで解決することで、ここで変化するコード内の3度の音を「ピカルディの3度」なんて云ったりします。
0:32〜 Raise - 小倉唯
作詞:只野菜摘 作曲:俊龍 編曲:藤田淳平 (Elements Garden)
D♭ | E♭→Fsus4 | F (♭VI | ♭VII→Isus4 | I, Key=Fmin)
6.間奏・Cメロ
Imを8小節鳴らしてラップ調の箇所へ入ります。
Im→ = → = → = →♭VI | ♭VII を2回やってギターソロ・シンセソロへ。
♭VI | ♭VII→Vm7 | Im7→♭VI | ♭VII→Im7→♭VI | ♭VII→Vm7 | Im7→♭VI→Vm7
7.落ちサビ
♭VI | ♭VII→Vm | Im→♭VI | Vm7→Im | ♭III→♭VI | ♭VII→Vm | Im→♭VI→♭VII
キーが再びB♭minに落ちます。ディグリーに変化はなくそのまま移動しているだけですね。
以上です。
いつものごとくPVを貼っておきます