今年も偏見にまみれた耳で選んでいこうと思います。調べてませんが全曲サブスクにもあるはずです。去年もですがナンバリングに特に意味はないです。確認したところどうやらアーティストの五十音順だったっぽいですが。今回は多分思い浮かんだ順です。コメントの長さは肩入れしてる具合がなんか露骨に出てしまっている気がしますが、それが曲の好き度合いの順列と同じといったことは全くありませんのでご容赦ください。
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収録シングル:クラクトリトルプライド (2021年1月9日)
いや、作詞の天才・夏川椎菜、メロディの天才・田淵智也、夏川椎菜サウンドの三銃士のうちの1人、HAMA-kgn(天才)が集まったらそら天才なものができてしまうわけですよ、素晴らしい。三人寄らずとも文殊の知恵、三人寄らば新たな文明が生まれてしまいます(?????)
入りのAメロからもう田淵さんのメロディの波動がバリッバリに出ているのはもちろん、1BやDの7拍子、1Cと2Cの入り方が違うといったいつもの田淵さん要素が強くアニソンTBCが大好きな方に刺さるのは間違いなし。
それに被さってくるHAMA-kgnさんのアレンジがまた美味しくて美味しくて。ステテクレバーなどでも聴くことのできるニョエ〜と唸るギター(伝われ)や、バンドサウンドにほどよくマッチするシンセの音、緩急の気持ちいいリズム。
歌詞は夏川椎菜さん本人によるもの。シングルの表題曲を書くのは記憶が正しければこれが初めてのはずですが、今までのアーティスト活動のロック魂を踏襲し包み込み、そしてそれをポップに昇華する素敵なリリック。
あとこれは誰が考案したのか分かりませんが、3Cのあとに3Aをシームレスに繋げる泣きの確定演出、本当に最高です。
ありがとうございます(大声)。ライブツアー「Pre-2nd」の福岡、愛知、羽田、東京と参加させていただきましたがとてもよかったです(語彙力)
2.人生イージー? - DIALOGUE+
作詞:田淵智也 作曲:田淵智也 編曲:田中秀和 (MONACA)
収録シングル:人生イージー? (2021年2月3日)
これを入れない手はないんですよ。まあまずキモい話をすると、2020年10月10日のDIALOGUE+JAMで2nd, 3rdシングルの発売が告知され、夜にティザームービーが上がり、この楽曲の一部が公開されたわけです。普通に1Cが公開されるんですが、今度は12月8日にインロが公開されました。キーが違うんですよ。1CはC、イントロはB♭。ああどっかで全音転調するのねって当時は思っていました。でもイントロの最後がFaug Eaug E♭aug Daug Daug/A♭で、これってGの半音上のドミナントセブンスに向かって半音でaugで下がってるわけじゃないですか。ここにその兆候はあったんですよね。なんとAメロはGでした。そんな調の渡り方あるんですね。
そんな話は置いておいて、とにかくリハモが秀和さんで気持ちいいんですよね。わかりやすい骨組みの上に豪華な飾り付けをする編曲が本当にすばらしい。オススメはDメロです。いろんなところで散々書いているので割愛しますが。
メロディも展開もすごいですよね、UNISON SQUARE GARDENとかにも変な(変ではない)譜割の曲はありますが、「数値が決まってるんだきっと」の部分とか「たまにじゃないくらいにすれ違うんだ」とか理解するのに1分くらいかかってしまいましたし、極め付けは2Aですよね。こんなんありなんだ(全てを受け入れることしかできない顔)
そして歌詞、田淵さんの詞って四字熟語とかそうでなくても難しめの言葉が入っていたりするんですが、「虎視淡々」とか歌詞に使いますか?「がんばってないのはキミの甘えだ」はすごすぎてごめんなさいって感じです(汗
でもこれがんばってないのはキミの甘えだというDIALOGUE+チームの発する言葉に妙に説得力があるので不思議なものですよね。長くなりそうなのでこの辺にしておきます。
3.花咲く僕らのアンサーを - DIALOGUE+
作詞:田淵智也 作曲:田淵智也 編曲:広川恵一 (MONACA)
収録シングル:あやふわアスタリスク (2021年2月3日)
いや、この曲は本当に全楽器生で聞きたい。100万円の音がします。
ここに挙げているストリングスが使われている曲の中で最もオーケストラ感の強い曲(栁舘周平さんの曲より強いです)で、管、弦、ピアノの呼応を全く邪魔することなくギター、ベース、ドラムが入っているのが本当にすごいです。どうなってるんだ。
カップリングなのにDIALOGUE+の自己紹介ソングですと言っても差し支えないくらいの歌詞、それにピッタリ沿った歌割り(こういうハマってるのがあるとユニットって気持ちいいよねってなります)、ユニゾン多めなところもいいですよね。ここはみんな同じ気持ちなんだ!感が出て非常にいいと思います。自称最強たちの躍進がこれからも楽しみです。
4.No.6 - 伊藤美来
作詞・作曲:園田健太郎 編曲:千葉岳洋
収録シングル:No.6 (2021年4月28日)
TBCを連続させてしまったのでこの辺で頭を冷やすとしましょう。
冒頭からブラスバンドや木管系の音が入っていてジャジーでオシャレな雰囲気を出しつつ、アニソンのメロディーの波やコード進行、全体の構成からは全く外れていないという曲です。
2Cが終わった後にDメロやソロを持ってくるのはよくある形ですが、楽器のアピールがあるの完全にセッションのアドリブソロって感じでニヤニヤしますね。いつか生バンドでライブやってくれないかなあ(とはいいつつストリングスやブラスは同期のことがほとんどですが)
華やかなサウンドに全く負けないボーカルがちゃんと軸になっているのも素敵です。ボーカルも楽器の一部と捉えて濁してミックスする曲もあってどちらも等しく尊いものだと思いますが、ここでは声を立ててオシャレジャズとアニソンシーンのきれいな融合が聞けてとても幸せです。
5.おもいでしりとり - DIALOGUE+
収録シングル:おもいでしりとり (2021年5月19日)
いやあまたDIALOGUE+ですいませんねえ。でもこれを入れない手はないんですよ。聞いてくださいよこのあまりにも美しいメロディーを。これが美術館に飾れないのが勿体ないくらいです(???)
まずこの曲ボーカルディレクションがあまりにも完璧なんですよ、入りからして良すぎて引き込まれてしまいました。
そしていきなりサビのソロの歌詞でしりとりを始めてしまうなんて誰が思いつくんでしょうか。この天才的なアイデアが浮かんだ瞬間の「やった〜」って喜んでいるTBCを想像したら笑顔になってしまいます。
スタートは忘れちゃうの「う」だと思うんですが、そこから
「うれしい」「いつもありがとね」「ねえちゃんと見て」「たを、つなぎたぁぁぁい!はぁぁぁっ(🥺)」「行かないで」「できるだけそばに」「似た者同士だ」「抱きしめたい」「いっぱい考えてさ」「探し出したんだ」「だから聞いてほしいです」「好きです」「すごく綺麗」「今なら分かるよ」「欲張りでいい」「一緒にいよう」
最後「う」で終わっているので入ってさえしまえばサイクリックしりとりができるわけですね。
MVの平仮名を渡す造作も、しりとりになるようにソロパートの歌唱担当者が渡していてギミックまみれです。これは監督の安井さんに感謝ですね。
メロディとコード進行が美しく、入りの2536のリハモだけですでに頭を抱えたくなりますが、1A前はフリジアンコード、2A前はそのサブドミナントマイナー要素を引き継いだ♭VII7。1C前は♭VI-♭VIIの装飾、2C前はM7とm7を交互に繰り返す半音下降からの♭VI-♭VII。サビの要素はここまで変わらないと思っていたら、Dメロに用意される3連符。素直なギターソロと綺麗な感じのDropC来たなになっていたら♯9thをなぞる「だから聞いてほしいです」、やっと言えるんだの「だ」でフリジアンコードにして切なさマシマシにしてくるじゃないですか(大歓喜)
歌詞とかMVにも触れていたら結構長めになってしまったので、音的な話はこの辺にしておこうと思います。
6.Letter - 富田美憂
収録アルバム:Prologue (2021年6月30日)
上半期ラストに発売という時期もあり、楽曲派諸氏からの注目も集まり評価もそこそこ高かかったアルバムのラストの曲です。
自作詞でこういう曲調となると重くなりがち・意味詰め込みがちの傾向にあるのがこのシーンの常のような気がしますが、そこをうまいこと回避しつつ作詞者の言いたいことを出せている感があってポイント高いです。
アルバムに新規に収録されている楽曲たちはそれぞれのカラーに合わせたキャラ付けされたボーカルとでも言いましょうか、それはそれできちんとした正解なんですが、この楽曲では等身大の歌が聴けるんですね、それがとても好きです。
7.ピンキーフック - 麻倉もも
収録シングル:ピンキーフック (2021年8月18日)
界隈ではどのMOMOがいいかで話が盛り上がっているそうですがまず曲が良すぎることで騒げ(o・∇・o)
麻倉ももさんの曲はバンド寄りなものが今まで好きだったんですが(麻倉ももさんじゃなくてもそうだろ)、音が軽めでどちらかというと電子よりな感じのサウンドでテンポ良く進んでいくのがたまりません。ライブはバンドでやってほしいけどね(o・∇・o)
サブドミナントマイナーの♭VII7ってのは調性から外れた音が2つも混じってるので非常に変な音に聞こえるわけですがそれにより期待感が持てるわけですよね、イントロからそれをブチ込んでくれるので信頼です。あとフレーズ終わりにドミナントセブンスなんて使いますか?もうこの時点でだいぶ狂ってますよ(褒め言葉)
サビ前のテーンは下がB♭で上がGだと思うんですがなんとも言えない不安定感がクセになります。
2番はBridgeがなくていきなりサビに飛ぶんですね。楽曲の2番を構成する上でABを逆にする、AとBの間に別のフレーズを挿入する、Cを消すとかは今まで見てきましたがBを消す例っていうのは他にもあるんだと思いますが見たのは2回目です。
DropCの手前ではテーンの音にEm7(♭5)/Aが採用されています。フリジアンコードです。
歌い方というかボーカルの方向性というか、同じく渡辺翔さん提供の「Agapanthus」のようなあからさまな囁きこそないものの、かなりその成分が入っているパートだったり、麻倉さんのレンジからしてここは地声でいけるだろうな、というところでもファルセットにしていたりと、全体的にこだわりポイントが多そうで何度聞いても飽きません。ご本人のインタビューにも書かれていましたがいわゆる「スルメ曲」ってやつですね。おいしいです(???)
8.I my me mind - DIALOGUE+
作詞:大胡田なつき 作曲:広川恵一 (MONACA), 田淵智也 編曲:広川恵一 (MONACA)
収録アルバム:DIALOGUE+1 (2021年9月1日)
DIALOGUE+1のリード曲「透明できれい」、対になるM1「Sincere Grace」、各種センターボーカル曲にインパクト絶大の新規収録曲いろいろあってめちゃくちゃ悩んだんですが、個人的に最も変だなと思った曲を選びました。
DIALOGUE+の広川さんの曲でテンポが変わるシリーズは他にも「ぼくらは素敵だ」、「シュガーロケット」があり、いずれもセクションごとにBPMが1,2ほど上下します。おまけにこの曲はシンコペーション多めだったりジョイントが半拍だけ長い箇所があったりとテンポをとるのが非常に苦労する採譜者泣かせの1曲になっています(?)
コードは複雑かといえば決してそうではないんですが、不自然にならない範囲で音数を減らされていて、かつ遊んでいる音もあり、音を詰め込みダンスも動き多めで「全部入り」なことが多いDIALOGUE+楽曲の中でひときわキャラの立つ1本という感想です。
DIALOGUE+1には全曲試聴動画というものが存在しないのでMVのないこの曲は配信で聴いてくれという他ありません。
9.Fight oh! MIRAI oh! - 星見プロダクション
作詞:Q-MHz 作曲:Q-MHz 編曲:Q-MHz, 伊藤翼
収録アルバム:IDOLY PRIDE Collection Album [奇跡] (2021年10月27日)
今年もQ-MHzは業界の裏方で大暴れ。イントロからすでに「あっ」って感じで勢いに呑み込まれてしまいました。 キャラソンのくくりですがまあいいでしょう。
有識者の方によると1AやBメロは田代さんの感じがするということであの人は息を潜めているんですが、1Cからもう抑えきれなくなって暴れていますね。怒涛の1Cからセリフ調の2A、2Cへの入り方が1Bとは異なる2B、2Cからシームレスに繋がるDメロ、3回まわしの3C...
伊藤さんはおそらくブラスアレンジで噛んでいるのだと思いますけどこれもまた大変熱量があって楽曲の勢いを彩るいいラインを行っていますよね。いやあ素晴らしい。
歌詞はもう畑さんとTBCが全力で殴りかかっててどっちが書いてるのか分かんないような変な言葉も多くてとても楽しいですね。2Aは田淵さんだと思うんですけど。「心が大騒いでるよ」とかどっちなんですかね。
田淵さんまわりの疾走感あふれる楽曲でよくあるのは、1回目と2回目でドラムパターンが違うというのがあって、1回目はアンティシペーションのあるコードチェンジに合わせたパターン、2回目はガン無視でダンスビート。(ギミー!レボリューションや23時の春雷少女なんかが分かりやすいと思います)
この楽曲のAメロなんかがそうですし、サビはアンティシペーションはないですが、1回目は四つ打ち、2回目はダンスビートと変わっています。
この辺は編曲でいかようにもなってしまうので必ずしも田淵さんが噛んでいるということはないでしょうが、その確率はかなり高いと思います。
10.Starcast - 石原夏織
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:栁舘周平
石原夏織さん、喋ってると何言ってるのかよくわからないときの方が多いんですが(disってるわけではないです)歌声がとても素敵なんですよね。
そしてこの栁舘周平さんの映画みたいな曲構成が本当にいいんです。某王冠レコードのトリニティの水色の方の「Well Wishing Word」のようなオーケストラ感ありつつとてもテンポ良く進み、物量の多さがありながら飽き飽きとさせないまとまった物語といった感じです。
曲中で転調する箇所があるんですが、そのさせ方が非常にうまく「お、転調したな」という気づきを強く与えずスムーズにキーが移行するところもポイント高いです。
2Cの終わりで唐突に「OK」という歌詞が出てきていきなりポップになるんですが、ここで「いいよ」のような言葉ではなく「OK」が採用された理由を知っている方がいらっしゃったら教えてほしいです。
番外編-1 たゆたえ、七色 - ARCANA PROJECT
収録シングル:たゆたえ、七色 (2021年7月14日)
メンバーを確認してみたんですがどなたも声優の方ではなかったのでランクの中には入れませんでしたが、アニソンシーンでこんなにいい曲なのにノミネートできないのはもったいないぞということでご紹介。
もうクレジットを見ただけで満腹になりそうですが、それだけではない素晴らしさをちゃんと備えています。
草野華余子さんは紅蓮華だけが持ち上げられるシーンも多くモヤることも多いんですが、シンガーソングライターとしても活躍されていて(このブログ読む人は知ってるか)、2020年以降の曲を2つほど貼っておくので是非見ていただきたい。メロディに滲み出る「節」は田淵さんや堀江さんのキャラの濃さにも勝るとも劣らない、非常に主張の強いものとなっていてクレジットを見ずとも草野さんが書いたことが分かる、そんな動きです。
最近は更新されていないようですがYouTubeでやっていらっしゃった「かよつべ」にて、フォークは通っていないはずなのになぜか出てくるのはフォークっぽいライン、とおっしゃっており、この曲にも「アニソン感」は維持しつつもしっとりとしたフレーズがたくさんあってさすがだな~となりますね。
堀江さんに関しては某速報の方が正確かつ熱量のある文章を書いていらっしゃいそうなので、そちらに任せます(?)
番外編-2 特者生存ワンダラダー!! - 天音かなた
声優でもなければキャラソンでもなければアイドルでもない。VTuberですけどいい曲はいいんです(大声)
とりあえずアニソンシーン(広義すぎてもはやなんなのかわからない)の田淵智也を聞きたいとなったときに聞けば元気の出る曲。BPM216、跳ね回るベース、唸るギター、このテンポでいて生の凄腕ドラム(裕木レオンさんすごい)(裕木レオンさんは大冒険をよろしくのドラムも叩いていらっしゃいます)と、生音で浴びたい要素満載に加えて一聴して何を言っているのかよくわからない歌詞、約束された2Aセリフパートと、曲の構成が全て田淵智也で最高でした(語彙力が残っていない)
今年もいい曲たちに出会えましたね。田淵智也さんかあるいはDIALOGUE+さんの記事みたいになってしまった感がありますし、それで記事書けよって言われそう(実際自分でもそう思っている)ですが2021年はこういうマインドだったよということで書き残しておきます。数年後に見たら何これ恥かしって思うでしょうがそれもまたそれでということで。
それではみなさま良いお年を。