【ライブ感想】DIALOGUE+ PARTY 2021 ぼくたちの現在地
2021年もDIALOGUE+はジェッ飛ばしていくぞ!という目標に恥じぬイベントを年始早々目撃してしまいました。感想回です。DIALOGUE+JAM Vol.2の3倍くらい多動してバキバキになった四肢と格闘しながらキーボードを叩いています。
の前に。
全曲パフォーマンス編の1部をまだ見ていないそこのあなた!私は決して断じて絶対損はさせないので1000円のアーカイブ配信を見てください。ZAIKOさんにて販売中です。
2部(3000円)はメンバーによる新年会、3部(4000円)はプロデューサーのおじさんたちやコリオグラファーの沢口かなみ先生、MV監督の安井さん、VJのルーツさん、ポニーキャニオンのプロモーション担当の坂本さんが出演されています。
DIALOGUE+の楽曲披露のスタイルといえば、必要な繋ぎを除いて「MCなし」が基本。今回もやってくれました。というか16曲70分でどこに喋る暇あるんって感じですがね。
「ぼくたちの現在地」というイベントタイトルからも何となくわかる通り、過去を振り返りつつ、重ねた月日を経て成長したDIALOGUE+を披露する構成となっていましたね。
昼は最前(ありがとうございます!)だったのである程度ダンスや表情も見つつ、夜は12列目だったので全てを解放という同じライブでも違う楽しみ方ができました。
2019年6月24日結成。期待と不安を胸にCDデビューへ踏み出していった様子を振り返る村上まなつさんのナレーションでスタートです。
M1.はじめてのかくめい!
原点にして最難関クラスの楽曲もかなりモノにしてきましたね。DIALOGUE+JAM Vol.2の時点で歌唱に関してはほとんど崩れているところがないな、という印象でしたが、今回で残っていた弱点を全て潰し切った感があります。しかもダンスつきですからね。
「不可能はなし、絶望もなし」
「ほらぼくらについてこようぜ、ワクワクてんこ盛りなんだ」
「ほらぼくらについてこようぜ、損は絶対させないさ」
「やらいんならないで苦しまないよ、だけどやんなきゃ未来は来やしないんだ」
何があろうとひたすら勢いをもって進み続ける決意を最初に宣言して実行し続けるDIALOGUE+、最高ですね。
M2.ダイアローグ+インビテーション!
D+JAM Vol.1に参戦していないので現地で浴びるのは初めてだったんですが、案の定イマジュンさんのようになってしまいました。ギターソロパートの各々のアピールシーンをしっかり見られたのが個人的にすごくよかったです(語彙力)
中の人は運が良いのか悪いのかわかりませんが、例の病気が流行る時期と重なるように曲中でのコールあまりやりたくない派に転向したのもあって声出し禁止に関しては束縛されている感覚がないんですが、メンバーコールや「せーの!」だけはやってあげたいな〜という気持ちで複雑です。
ここまでが1stシングルのパート。ミニアルバム「DREAMY-LOGUE」の制作や「DIALOGUE+JAM Vol.1」により経験値を積んだ8人を、飯塚麻結さんと宮原颯希さんが振り返ります。そしてここから先の曲は夏花火以外は生では初披露となっています。
M3.大冒険をよろしく
いや、ちょっと待ってくれ。正気か? 多動曲→多動曲→多動曲の繋ぎは勘弁してほしい(建前)、ありがとうございます(本音)。「ハナマルあげたいです」で頭を抱えると同時に普通に泣いて泣きながら大多動していました(?)。そしてこの曲で四肢と首を無事破壊しました。
「ぼくたちのかくめい!オンライン」のときは制作からそれほど時間が経過していないのもあって未達な点が多く見られましたが、1年の成長というのは素晴らしいですね。BPM208で鬼のように展開するメロディと決して簡単ではないダンスに喰らいついていく姿が本当に輝いていました。アウトロのトゥルエン感がまたずるいですよね...。出すのに苦労していたF5の音を複数曲で歌唱してきた結果難なく出せるようになってしまっている、本当にどこまでも成長していってくれます。
M4.好きだよ、好き。
温度差で風邪をひきそうです。情感たっぷりに歌う姿に引き込まれていきます。上記の3曲もそうですが、上のスクリーンにMVが流れていて、それも相まって色々と刺さるものがありました。夜は大冒険で全てを解放してしまったせいでこの曲の半分くらい地蔵タイムになってしまったのが悔やまれますが、これは昼に最前でしっかりと目に焼き付けられたのでよしとします。
「きみがぼくを嫌いになるときはぼくが夢を捨ててしまうときだ」
「だから、そんな日が来ないように今を歌い続けよう」
DIALOGUE+チームはユーザーの心理をめちゃくちゃわかっていますね(とてもいい意味です)、ワクワクを常に提供しつづける姿勢が曲調を変えても脈々と歌われ続けています。
おもちゃ箱のようなアレンジに遊園地をイメージしたという振りの組み合わせ。今回のイベントでいちばん視覚的に楽しかった曲かもしれません。
「だって逃せない、瞬きの間も惜しいくらいだよね」
次から次に楽しいことを打ち出していくDIALOGUE+さんの話ですか?
最後のティンパニの音だけ小さかったのが個人的にツボでした(?)
M6.Domestic Force!!
激しいダンスのあるEDMという異色の楽曲。宮原さんと飯塚さんのサビ前のソロパートの迫力が凄まじくて圧倒されてしまいました。緒方佑奈さんの2A前の「スコンッ!」にぴったりとあった動きに感動したり、守屋さんの「おいでよ孤独ゥ」に背筋がゾクゾクしたりと、本当に生で浴びられてよかった楽曲上位に食い込んできます。
M7.パジャマdeパーティー
緒方佑奈さんの「スタート!」いただきました。DIALOGUE+の曲の中でいちばん可愛さの弾けた楽曲だと思っております。岸田勇気さんという方がピアノを弾いていらっしゃるんですが、そのサウンドがとても華やかでついついエアピアノをしてしまいます(エアじゃなくて弾けるようになりなさい)
緒方佑奈さんの話ばっかしてる気がしますが、間奏部分で「1・2・3!」から前に出てきてソロで踊る箇所が本当に綺麗で素晴らしかったです。
この曲は最後ドラムの「ダカダンッ!」で終わるんですが、それに合わせた宮原さんの首の動きがガクン!って感じで面白かったです。
M8.ぼくらは素敵だ
8人が半円状になって向かい合ってるシーンですでに感動ものなんですが、さらにハモリをバッチリキメてしまう。あとこの曲には振りという振りがないらしく、各々の考える楽曲の世界観やストーリーに沿った動きをしているのがいいですね。笑顔で歌うメンバーもいれば、言い聞かせるように、語りかけるように歌うメンバー、情感たっぷりだったり、全身で溢れる思いを表現するメンバーもいて。追加公演を見たときに宮原さんは泣いているのでは?と思ってしまうくらいにはすごかったです。
ここで鷹村彩花さんと緒方佑奈さんのナレーション。大きく変わってしまった情勢にもかかわらず、止まらずに活動を続けるために知恵と努力を重ねて、逆境の中でも成長した様子を振り返っています。
M9.あたりまえだから
昼はここで決壊してしまったんですが、歌い出しの緒方佑奈さんが泣きそうになってて。もらってしまいましたね。2020年のDIALOGUE+の曲でツートップに君臨する曲の片割れは誰が選んでもこの曲だと確信しています。全てが良すぎて「いい曲!」という語彙力のない感想しか出てこないが悔しいですが、また最前ならではの体験を申し上げると、間奏で鷹村さんと宮原さんが手を合わせる音が聞こえるんですね。これがすごくよかったです。
あとは「ひとつ、ふたつ、...」に合わせて点灯するメンバーカラーのスポットライトの感動の確定演出。最高でした。
ここから5曲は2020年8月21日、25日にオンラインで開催された新曲発表公演「走れ!君と曖昧な光のあとで」にて披露されたもの。
説明会zoomにて田淵氏が「声優アーティストってアルバムツアーみたいなの組みがちだけど、曲あるならやればいいじゃん」という考えを表明していて、声優音楽のオタクになってからアルバムツアーとFCイベントにしか参加してこなかった中の人的には色々と気づかされるコンテンツだなあというのをこの時期には特に感じていました。
楽曲を補完する朗読劇にセンターボーカル制と新しい試みを入れた新鮮なイベントでした。ていうかDIALOGUE+のやることはスタッフトークなど含め全部最近の声優アーティストでは見られないようなことばかりなのでとても楽しませていただいております。
M10.謎解きはキスのあとで
作詞:竹内サティフォ 作曲:ONIGAWARA 編曲:ONIGAWARA, 伊藤翼
ザ・王道曲という感じでめちゃくちゃ好きなやつです。楽曲のコード進行が好きとかいう奇特なファンなのでBメロのIVM7-IVmM7-IIIm7-♭IIIdim7がいいんだよとか言い出したら止まらないですが今回はそういう記事ではないのでやめておきます。
現地で見る傘の中で何かしてるシーン、非常によろしい。宮原さんの歌のニュアンスが向上していたのはさることながら、内山さんの伸び代が非常に大きかったなあと感じた1曲でした。ちなみに大冒険のところで触れたF5の出る曲のうちの1つです。はじめてのかくめい!やあたりまえだからのブラスは打ち込みですが、この楽曲や大冒険をよろしくについては生音ということもあり、いつかブラスを入れてのライブも見ていたいなあなんて思っていたりします。
M11.走れ
これは2月3日に発売予定の2ndシングル「人生イージー?」のカップリングに収録される予定となっています。ebaさんが編曲料をほぼ全て注ぎ込んだとおっしゃっていたギターの音が入っています。
3部にて8月の公演の様子が一部流されていましたが、歌唱力の成長度合いがはっきりと感じられる曲でした。田淵氏が3部にて「鷹村さんはノってくるとピッチやリズムを外してしまいがちなので、2021年の目標はそれをなくすことだ」とおっしゃっていましたが、リズムに関しては修正できるようになってきた、そしてピッチに関しては確かに外すところはあるが、公演でも見られた通りDメロをめちゃくちゃかっこよくキメるところなんかを見ると、釣り合いが撮れるどころか寧ろお釣りがくるのではないか?というのを素人ながら感じています。
このセトリの流れだといままで多少守り感のあった稗田さんのボーカルが全開放されに来ててうれしかったです。歌がいいという理由で稗田寧々さんを推しているので。
M12.I my me mind
作詞:大胡田なつき 作曲:田淵智也, 広川恵一 編曲:広川恵一
ダンスが激映えする2人のセンター曲。飯塚さん歌うっまっとなるのもそうなんですが、DIALOGUE+JAM Vol.2で実感した緒方佑奈さんの歌の上達具合を身をもって実感できる楽曲でした。DIALOGUE+の楽曲に変拍子ものはありますが、キメのタイミングがビート通りではないのってそうそうないですよね。それを綺麗に歌って踊りこなすスキルを身につけてきちんとパファーマンスするレベルにまで来たんだなあと甚く感動していました。
M13.20xxMUEの光
作詞:やしきん 作曲:田淵智也 編曲:やしきん
TIF2020でも披露されたこの楽曲。DIALOGUE+を強く印象づけるためにとても有効なものだったと思っています。BPM220、何を言っているのかわからない歌詞、民族大移動みたいな振り。これはJAM 2の感想戦でもPのお2人がおっしゃっていましたが、守屋さんがバテることなく最後まで形を保ってパフォーマンスしていて、村上さんも自分の持ち寄ったアイデアを磨いて作ったこの曲をブレなく表現することに、このあとにも曲は続くのに力を注いでいてマジで輝かしいな...という感じでした。この曲のワクワク感、ワチャワチャ感を表現できるのは確かにこの2人だなあと妙にしみじみしました。
M14.夏の花火と君と青
作詞:本間翔太, 田淵智也 作曲:瀬名航 編曲:瀬名航, 伊藤翼
以上4曲はまだ音源化されていないものですが、この曲は安心してください、配信限定ではありますがリリースされています。
20xxから休憩なしで今度は和要素のある振りをしなやかに披露するの本当にHPの底が見えないですね。
イントロのモチーフがとても印象的でこれもエアピアノしてしまうやつです。いい加減弾けるようになりたいですね。1C前のねねソロ、バッチリ決まってて流石〜〜〜〜になっていました。音的な展開もそうなんですが、1曲を通して描かれる心の動きが本当に細やかで素晴らしい。好きなコードの部分は「続きから始められるかな」のところです。この曲で最もエモいと勝手に思っています。
ここで最後のナレーション。TIFやDIALOGUE+JAM Vol.2の思い出を稗田寧々さんが、これまでの総括を内山悠里菜さんが担当しています。
M15.あやふわアスタリスク
「現在地」のフラグ回収楽曲です。歌い出しは我らが稗田さん。フォーメーションが次々と変わる楽曲で、音楽、ダンスともに全く新しいものが降ってきて脳のCAPACITY超えてしまいました。いまこのブログもアーカイブを見ながら書いているんですが、配信されている間は見続けて来る音源公開に備えたいと思います。
そしてこの楽曲が、F5の出る曲の最後の1つです。2C直前にあります。
M16.人生イージー?
「よろしくお願いします!」からのシッシーレッレーミーミミッファーがシームレスすぎて叫び声をあげそうになりました。最後まで曲繋ぎ過激ですね。
「大人になるまで」の振りが親子参加コンビなのすごくいいですね、すごくいい。
2Aの稗田さんは概ねMV通りの顔をしていて完成度の高さが伺えますし、個人的にすごく好きな2Bの緒方佑奈さんのソロパートが本当に美しくて感激しました。 MVでいうと2C前はメンバーのスキルがアップするシーンなんですが、それに合わせてサビ前のF F Gのキメのピアノの音がオクターブ上に追加されてるんですよね。ここがマジで推しポイントです。
そして最後のYes!で肘を肘掛に強打しました。ここまで怪我なしだったのにやってしまいました。対戦ありがとうございました。
今回は緊急事態宣言下、各種イベントが再び中止ないし延期となる中、eplusで現地チケットを購入された方は田淵氏のお言葉も読まれたかと思いますが、莫大な熱意をもってこのイベントを開催してくださったことに本当に感謝しています。
そしてメンバーの皆さんが歌って踊っているのを拝見したのはDIALOGUE+JAM Vol.2以来3ヶ月ぶりで、この間にもちろん声優業のお仕事もたくさんあったでしょうし、まだ存在すら明らかになっていない楽曲たちの練習などもある多忙なスケジュールを縫って、ただ曲を歌うだけではないこの簡単なイベントを成長を実感させながら成功させてくださったことにとても感動しました。「頑張る」ことを見せるのはかっこよくないだろうという意見ももちろん一般論としてあるでしょうが、「あ、こんなに頑張ってるし頑張ったなりに伸びまくってるな」という感想を抱かせ、ユーザーはおろかスタッフの方々にまで悔しい、負けるものかとさえ思わせる圧巻のパフォーマンス。これがDIALOGUE+の唯一性でありいちばんの魅力だと思っています。
デビューから今までの時を経て大きくステップアップしたDIALOGUE+を目撃できて本当に幸せでした。次のイベントを心から楽しみにしています。メンバーの皆さん、スタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。
P.S.
田淵智也さん、3部にてハッシュタグを漁り、中の人および個人的に仲良くさせていただいているフォロワーのツイートを読み上げてくださり、ありがとうございました。
ボーカルに被る帯域は弱くしていることを失念しており申し訳ありません、精進します。
正直値段設定と『あたりまえだから』に釣られて見に来たんだけど想像以上だった。声優アーティストの枠を超えて必ず売れるし伸びる。若く希望に満ちた才能たちが結束していく力は、どんな困難も乗り越えられそうなほど強くて感動した。2021年初ライブとしても最高だった。ありがとう #ダイアローグ
— のこのこ👏🎧 (@noko_noko69) 2021年1月10日
これってオケなんですよね?やはり音源の段階で良い音を貫いておくの大事だなと思う。全然生っぽい #ダイアローグ
— のこのこ👏🎧 (@noko_noko69) 2021年1月11日
オケだけどPのこだわりでステム調達してきてベースとキックアゲアゲにしてある感
— あめ (@F7b5_9_omit3) 2021年1月11日
【雑記】声優アーティスト楽曲大賞2020
僭越ながら私もこの波に乗りまして偏見にまみれた耳で選ばせていただきました。確認してないですが全曲サブスクにもあるはずです。
1.Shake it up! - 麻倉もも
作詞:月丘りあ子 作編曲:アッシュ井上
収録アルバム:Agapanthus (2020年4月8日)
Gmajの頭サビで普通に曲が始まったかと思えばミクソリディアンのA,Bでとてもオシャレです。あと裏コードが入ってるのが個人的にすごく好みでした。この選曲の中ではこの曲だけのはずです。Good Job!とFanfare!!を合わせて強く、それでいてシンプルなサウンドに落とし込めている感があってお気に入りです。
2.You & I - 石原夏織
作詞:日南田あおば 作曲:本田正樹 編曲:やしきん
収録シングル:Against. (2020年11月4日)
一部界隈で人気爆上がり中の石原夏織さん。夏にはアルバムのインスト音源を配信で解禁したことでチームの信頼度がカンストしていました。正直インストを解禁しないのに何の意味があるのか理解できないので是非ともほかのアーティストさん方も解禁してほしいところですが、それはおいておいて。
やしきんさんのブラスアレンジが光る1曲です。UNISON SQUARE GARDEN「君の瞳に恋してない」、佐倉としたい大西「Radio time predator」など、やしきんさんがブラスアレンジを担当されている曲がいくつかありますが、特に経歴で金管をたどっていらっしゃるとかもないので一体このサウンドはどこから...と不思議になります。
表題曲のAgainst.がマイナーキー、ストリングスとギターの呼応、と全体的にかっこいい世界に仕上がっているのに対し、カップリングのこちらでは一転はじけるポップチューン。
あと恋模様の楽曲でD♭ってのが分かり手ですね、悩んでる感じのニュアンスが一番よく映えるキーだと個人的に思っています。
現時点で当落が出ていないでの何も分かりませんが、CDを買ってシリアル打ち込んで現場に応募したので、遊びに行けると嬉しいです。
3.キミのとなりで - 鬼頭明里
作詞:こだまさおり 作編曲:伊藤翼
収録シングル:キミのとなりで (2020年10月28日)
一部の界隈では早く鬼頭さんに伊藤翼が来ないかとか言われていたらしいですね。ストリングスやピアノなどを打ち込みで済まさず楽器レコーディングを多めに作るのが伊藤さんのスタイルですが、今回もそれが存分に生かされている形になっていますね。伊藤さんの曲はきちんとアニソンシーンという範疇に収まっていながら、どこか中心軸がずれているような(別にどちらがずれているとかはないですが)、カタルシスを感じる部分が違うんだろうな、というサウンド感の曲が多くて、不思議な気持ちになりながらもいつもとは異なる満足感が得られてとてもいいです。
4.歩いていこう! - 東山奈央
収録シングル:歩いていこう! (2020年2月5日)
2019年4月発売の2ndアルバムでは2曲の作曲を手掛けていましたが、今回はお休み。
ピアノとストリングスが美しく奏でる前で映える伸びやかなボーカル。強烈なフックが仕掛けられているとかではないですが、単純に聞いていたくなるような、「素敵な」という言葉が似合いそうな曲です。
5.翼と告白 - 富田美憂
収録シングル:翼と告白 (2020年6月3日)
こういう曲好き~~~ってイントロでなるタイプでした。前作の「Present Moment」のサウンドを継承しながらより重層感の増した曲になっていると感じます。
この曲はAmajなんですが、1曲を通して解決する、つまりAmajに落ち着くという瞬間がありません。強いメロディラインや美しいストリングスの動きなどとは対照的に和声的にはどこか浮遊感のある世界になっています。
6.アンチテーゼ - 夏川椎菜
作詞・作曲・編曲:すりぃ
収録シングル:アンチテーゼ (2020年9月9日)
あのTBCに絶賛されるほどの歌詞を書き上げる能力のある夏川椎菜が歌詞まで書いてもらうなんて相当な歌詞がやってくるんだろう、と身構えていましたが、ステテクレバーを数倍濃くしたようなものが降ってきて床になってしまいました。抜けのいいドラムに呼応するギター、ドラムのみならず、夏川椎菜の世界を彩る電子音。最高です。
ジャンキーナイトオーケストラというすりぃさん作曲のボカロ曲をコピーで歌った後にこのシングルの制作が発表されたのがはるか昔のように感じますがね。
7.Well Wishing Word - 水瀬いのり
作詞・作曲・編曲:栁舘周平
収録シングル:ココロソマリ (2020年2月5日)
初代WWWこと「Winter Wonder Wander」に続く柳舘周平氏によるWWW第2作。前作のアレンジはF.M.Fの先輩である奈良悠樹氏によるものでしたが、今回はすべてを担当。恋愛をテーマにした曲でありながらどこか物語チックなサウンドでポップな世界観。そんなAメロから続くBメロはメースとピアノの掛け合い、通常は楽器パートをメインに据える間奏部分はスキャットを乗せるなど、終始楽しいナンバーです。歌詞も本人が言ってそうですよね、「将来ずっと一緒なんて誓えません」って。
8.大冒険をよろしく - DIALOGUE+
収録アルバム:DREAMY-LOGUE (2020年4月8日)
もうこれは文句ないでしょう。田淵智也氏の自身のライブでの動きをそのまま体現したようなすべての楽器が元気よく動く一曲です。メロディの方向性としてはかの大人気ラジオ番組「佐倉としたい大西」にQ-MHz名義で楽曲提供した「Radio time predator」に似ています。
パワフルなメロディに合わさる堀江晶太氏のアレンジ。私はピアノのラインがお気に入りです。ただこの辺は某サイトの方が正確かつ多くの情報を詰めていらっしゃる(楽曲レビューで1万字ですからね)ので、そちらを読まれることをお勧めします。
2020年、こんなに物量の暴力でポジティブな楽曲がほかにありましたか?って質問を本気で投げられるくらいの詰めこまれ具合。
さあ、こんな大冒険をよろしくですが、MVだけでなく歌っているところも聞いて多動したいですよね、したくありませんか?
なんとこんなイベントがあります。
DIALOGUE+PARTY 2021「ぼくたちの現在地」
年始からイベントがあるって最高ですね。しかも今までに発売された3枚のCDに収録されている9曲に加え、8月の新曲発表公演にて披露された新曲5曲、そして2021年1月より放送開始のTVアニメ「弱キャラ友崎くん」のOP, EDの2曲の合計16曲が披露されてしまうんではないかと思われます。
現地は7000円ですが、ZAIKOでの配信はなんと1000円。なんか壊れてますね。
しかも公演時間は70分、なんでですかね。TIFオンラインの時もそうでしたが、持ち時間をすべて曲に割き、曲繋ぎの時間は1秒、もちろんそんな曲間では喋らずイントロでMC(?)というバキバキのセットリストを組んでくることが予想されます。
今は追加公演分のチケットが一般販売されているみたいなので、どうぞお早めに。歌と踊りを全力でがんばる姿を多くの人に目撃してほしいと思っています。
【コード進行解説】夏川椎菜 クラクトリトルプライド
417Pちゃんねるの神曲確定演出、流石にズルすぎますね。
Zeppツアー発表からの5thシングル発売決定。そしてストーリーのしっかり組まれたラジオ風動画からの2Bの入りまで公開するスタイル。負けを回避するのではなく勝ちをとりに行くスタイルで今後も行ってほしいと強く願っています。
1.導入
通しでKey=Gmajです。転調や大きなモーダルインターチェンジはないですがその分展開を豪華にすることで「田淵感」を押し出しています。
2.0A
I→III→VIm→I7→IIm7 | V7(♭9)→IIIm7-5 | VI7→IIm7→V7(♭9)
この曲におけるいわゆるイントロの概念がどこに適用されるのかわからないので0A→Inter1→1A...という流れで進めていきます。
さてその0Aだけの特徴としてIIm7へ向かうツーファイブがIIIm7-5→VI7で構成されていることですね。
3.Inter1
I7 | ♭VII7→IVaug/5 | ♭II→I7 | ♭VII7→IVaug/5→I | ♭VII7→IIm7/5 | ♭II→I | ♭VII7→IIm
こういう雰囲気の進行だと思います、IImの箇所は半音で揺らしていたりするのでなんとも言えないですが。I7でまずモードを変化させてからSDm、IVaug/5の箇所は後半ではIIm7/5が鳴っているので、ここでは上部構造の音に変化をつけた形としていいでしょう。
4.Aメロ
I→III7→VIm7→Vm7 | I7→IIm7 | V7(♭9)→IIIm7 | VIm7→IIm7→V→
I→III7→VIm7→Vm7 | I7→IIm7 | V7(♭9)→IIIm7 | VIm7→IIm7 | V7(♭9)→I
大枠としてこんな感じですね。特に変なところはありません。1Cのすぐあとに配置されている2Aでは下の部分だけが使われています。
5.Bメロ
1番:
♭VI→ = →Vsus4→ = →♭VM7→ = →IVM7→I V/7 VI/#1→IIm7→V7sus4→IIIm7→♭IIIdim7→IIm7 | IIIm7→IVm | ♭VII→♭VI | V→V→♭VII7(9)
2番:
♭VI→ = →Vsus4→ = →♭VM7→ = →IVM7→I | VI/#1→IIm7→V→IIIm7→Im6/♭3→IIm7 | IIIm7→IVm→IIm7/5
♭VIのSDmから開始。4まで半音で下り、4536に接続すると思わせてからの♭3が滲みます。234と進むときもIVm、♭VII7もSDm。田淵智也はサブドミナントマイナーが大好き。
1番と2番で拍子が変わるこの構成、「むにゃむにゃゲッチュー恋吹雪」(作詞・作曲:田淵智也 編曲:やしきん) を彷彿とさせますね。
6.1C
I→ = →IIm7→III7→VIm7→ = →Vm7→#IVm7-5→IVM7→IVm/♭6→IIIm7→♭IIImM7→IIm7→IIIm7→IVM7→V→♭VI→♭VII | #VIIdim7
いきなりDropCみたいな始まり方ですが、123と来て6、4に向かうツーファイブと見せかけて1の裏の#4へ。ここから2まで半音で下り、順次進行、♭VI-♭VIIで飾り、ダメ押しのV7(♭9)のルート省略形の#Vdim7。
7.Inter2
♭VIIM7→ = →I→ = →♭VIIM7→ = →I→I | ♭VIIM7
プリドミナントの役割をもつコードからトニックへ向かうプラガル終始的な動きをします。
8.2C,3C
I→ = →IIm7→III7→VIm7→ = →Vm7→#IVm7-5→IVM7→IVm/♭6→IIIm7→♭IIImM7→IIm7→IIIm7→IVM7→V→
I→ = →IIm7→III7→VIm7→ = →Vm7→#IVm7-5→IVM7→IVm/♭6→IIIm7→♭IIImM7→IIm7→IIIm7→IVM7→V→
2Cでは2巡目が存在します。といっても特に変わるわけではなく、Dメロへの接続も素直にSD-Dの流れです。
9.Dメロ
IVM7→V→IIIm7→VIm7→IIm7→III7→VIm7→I7→
#IVm7-5→IVM7→IIIm7→♭IIIM7→IIm7 | IIIm7→IVm→IVm | Vm→♭VI→♭VII→V7(♭9)→ =
また来ました7拍子攻め。I7から#IVm7-5へ行くのはその変化形が「はじめてのかくめい!」に登場するので、もうおなじみですね。半音下降をここでもぶつけてきますが、♭3の箇所は♭IIIM7に。どこまでも新しい手を打ってきます。ラストはBメロの後半のようにマイナーコードや♭VI、♭VIIを出してVへ。
10.3A
I→III7→VIm7→Vm7 | I7→IIm7 | V7(♭9)→IIIm7 | VIm7→IIm7→V7(♭9)→
I→III7→VIm7→Vm7 | I7→IIm7 | V7(♭9)→IIIm7 | VI7→IIm7 | V7→IIIm7 | VIm7→IIm7→IVm
3Cから間髪開けずに3Aへ突入。ああこういう感じね〜と軽い気持ちで聴いていたら
「目〜を〜見て話す〜ように〜」
は!?!??!?!?!??!??????!?!????????
7拍子の時点で田淵やりやがったな〜(ニヤニヤ)のテンションにはなっていましたがこれには完全に敗北してしまいました。なんですかこれは。
ということで移動ドで比較。
ファーストプロット:ファ〜ソ〜ファミレドシ〜レ〜ド〜
クラクトリトルプライド:ファ〜ソ〜ファミレドシ〜ソ〜ド〜
「よ」の部分だけ音が違いますね。
11.Outro
I | ♭VII7→IIm7/5 | ♭II→I | ♭VII7→IIm→I
めちゃめちゃエモイ3Aからこのキモめのコードドーン!ギターバーン!みたいなメリハリの付け方が最高ですね。
「MVが人生イージー?みたい」って言われててちょっと笑いました。背景に過去のCDやグッズなどが並べられていてエモみに拍車がかかります。
【コード進行解説】水瀬いのり Starlight Museum
曰く5周年ソングらしいです。耳コピの合間にちょいちょい耳に入ってくる歌詞がそれっぽい感じでしたね。ということで今回も安定のコード解説記事です。
Starlight Museum - 水瀬いのり
作詞:桜澤ヒカル、水瀬いのり 作編曲:桜澤ヒカル
1.導入
Intro〜BがKey=A♭majです。それ以外はAmaj、いのりの桜澤ヒカルといえば転調なのでしょうか。
2.イントロ
I→VIIm7-5 | IIIm7(♭9)→VIm7→Vm7 | Iaug→IVM7→I/3→♭IIIM7→IIm7 | V
これ以上ないくらいのカノンのツーファイブ。♭IIIM7は同主短調の方から持ってこられる借用コードですが、ここでの役割としては3と2の間を半音で滑らかに接続するための挿入でしょうか。♭3がベースになるコードでよく用いられるのが♭IIIdim7や♭III6ですが、その類のものと認識してよいでしょう。
3.1A
I→IVm/♭6→I/5→♭IIIM7/♭7 | ♭IIM7/♭6→IM7/5→IVm/1→VIIm7-5→III7→VIm | V/7→I | IV→V7(♭9)→
I→IVm/1→I→♭IIIM7 | ♭IIM7→I→IVm/1→I→I | V
♭IIM7ですが、転回形でベースに♭6と書いてある通り、キーの♭6の音を含むのでSDm要素として用いることができます。分かりやすく普通のIVmなんかも置かれちゃってますね。
4.Bメロ
I/3→IVmM7→VIIm7-5 | III7(♭9)→VIm7→IIm7 | I/3→♭VII7 | #IVm7-5→IV7sus4→V'
この曲でいちばんコード進行が波乱の箇所ではないでしょうか。 またSDmか〜と思えば一転してVImへ向かうツーファイブ、順次進行の流れを見せるか、いや、♭VII7のSDmを挟み、ブルーノートの香るIV7sus4、そして転調。濃い。
5.サビ
I→IIdim7→I/3→IVm→I/3→♭IIIM7→IIm7 | I/3→IV | V7(♭13)
前半です。IIdim7とかどうしてやろうかと思いましたが、ここはdim7。落ち着いて回してやればVIIdim7、そしてこれはV7(♭9)のルート省略形。勝ちましたね。
I/3→IV→VIIm7-5 | III7(♭9)→VIm7→#IVm7-5→IVmM7→I/3→VI7→IIm7→V7(♭13)
後半です。こちらの方が動きは多いもののシンプル。順次進行で3,4と上ると6へ向かうツーファイブ、そしてベースの下降で滑らかに接続した先には#4から下る進行。3625、と強進行すると、Inter1のVImへ偽終止します。
6.Inter1
VIm | V/7→I | IV→IVm→V7'
671と上って転回、IV6のような響きへ接続。IVmに変化してモードを変え、その流れでA,BのA♭majへ戻ります。
7.2A
I→#Vdim7→IVM7 | #IVm7-5→V | #Vdim7→VIm7→♭VIaug/♭7 | I→VIIm7-5 | III7→VIm | V/7→I | IV→V7(♭9)→
前半のみですが、dim7を見たら転回しろの法則に従ってからベースを付け加えるとIII7(♭9)、こうすると134という見慣れた進行になりますね。3から4にどうやってつないでいるのかというのは、III7の進行先であるVImに、長3度下の音を付加するとIVM7になります。そして6まで半音で上昇、♭7ベースのイキスギコード。♭7ベースのイキスギコードで思い出されるのはやはりこの曲。
はじめてのかくめい!- DIALOGUE+
このE♭aug/Fが耳に入らぬかという勢い。ここで大事なのはE♭aug/Fというサウンドだとかこれがイキスギコードの形だとかではなくキーの♭6の音が含まれているということ。♭VII7の構成音は♭7,2,4,♭6なので、つまるところサブドミナントマイナーなわけです。
8.Inter2
(Amaj)IVM7→I→♭VIM7→♭IIIM7→
(A♭maj)IM7→V→♭VII7→
(Amaj)♭VIIsus4 | ♭VII→Isus4 | I
セクション中で転調するので曲の中でも動きが激しく聞こえる箇所です。sus4からのメジャートライアドの連続はやはり力強く聞こえていいですね。
9.Dメロ
#IVm7-5→IVm7→IIIm7 | #Vdim7→VIm7 | ♭VIaug/♭7→IIm7→I/3→IVm7→V
サビのIVmはIVmM7だったはずですがこのセクションではIVm7に。完全に短調の方から引っ張ってきた音になりますね。♭7ベースのイキスギコードは先ほど同様SDm。
10.3C
I→IIdim7→#Vdim7 | III7→VIm7 | IVm→I/3→♭IIIM7→IIm7 | I/3→IV | V7→
I/3→IV→VIIm7-5 | III7(♭9)→VIm7→#IVm7-5→IVmM7→I/3→VI7→IIm7→I/3→IVm→V7(♭13)
前半が後半の要素も少し取り入れた進行になっていますね。後半のラストパートは素直に2345ではなくダメ押しのIVmで雰囲気に変化を与えています。
11.アウトロ
IVM7→I→V→VIm7→IIm7→I/3→#Vdim7→VIm7→I/3→IVM7→V→VIm7→I/3→IVM7→V
#5とかありますがそのほかは全てダイアトニックに攻めています。最高音E5が繰り出されるのもこのセクション。
5周年おめでとうだの誕生日おめでとうだの言ってますがMVをまだ見ていないので気が向いたらみようと思います(一生見ない発言)
【コード進行解説】ゆいかおり Promise You!!
優等生のような楽曲ですねこれは。俊龍氏の楽曲は全体的にこういう傾向が強いですが、奇を衒わずに堅いものを作り上げるという、シンプルさの中に光る一撃を放つその手腕はなかなか真似できるものではありません。
1.導入
Key=Cmajです。転調はなし。
2.イントロ
IVM9→Vsus4→IIIm7→VIm→♭VIM9→ = →Vsus4→V→
I→V/7→VIm7→IIIm7→IVM7 | V→III7/#5 | VIm7→IIm7 | IIm7/5→I
超綺麗なピアノとストリングスの絡みから進行して放たれる爽やかなギターソロ、素晴らしい。それは置いておいて、4536の後ろの♭VIM7はキーの♭6の音を含む3度堆積になるので、素直にサブドミナントマイナーだとわかります。
その後ろは1563、カノン進行ですね。俊龍氏はカノン進行で作るときは1565ではなく1563にする傾向にありますね、なんででしょう。4536をちょっといじってからのツーファイブワン。超王道です。
3.1A
I→V/7→VIm7→Vm7 | Vm7/1 IIIaug/♭5→IVM7→IIIm7 | VIm7→♭VIIM7→IVM7 | V→
I→VIIm7-5 | III7→VIm7→V | Isus4→IVM7 | V→IIIm7 | VIm→IIm7 | IIm7/5→IIm7/5 | I ♭V7(9.♭13)
俊龍氏らしいカノン進行をベースとしたものに編曲でコードが味付けされてる感じです。IIIaug/♭5や♭V7(9.♭13)はsubV7/IVということになりますね。♭VIIM7はプリドミナントの役割をもつコードで、もう頻出ですね。
2巡目はツーファイブ型のような見た目をしていますが、514の部分がダイアトニックコードのままとなっています。
4.Bメロ
IVM7→V7/4→IIIm7 | #Vdim7→VIm | V/7 I→IIm7→#IVm7-5→Vsus4→V
お手本のようなつなぎ方ですね。
5.サビ
I→V/7→Vm/♭7→VI7→IIm→IImM7→IIm7→V | III7/#5→VIm→♭VIaug→I/5→#IVm7-5→IIm7→II7/#4→Vsus4→V→
I→V/7→Vm/♭7→VI7→IIm→IImM7→IIm7→V | III7/#5→VIm→♭VIaug→I/5→#IVm7-5→IIm7→IIm7/5→Isus4→I
1→7→♭7→6と半音で下るあのパターンです。Vm→VI7はIIm7へのSDm→D、IImからIIm7にかけてはトップノートのクリシェ、VImから#IVm7-5にかけてはベースのクリシェです。
6.2A
I→V/7→VIm7→Vm7 | Vm7/1 IIIaug/♭5→IVM7→IIIm7 | VIm7→♭VIIM7→Vsus4 | V→
IVM7→V→IIIm7→VIm7→IVM7 | V→IIIm7 | VIm7→IIm7 | IIm7/5→IIm7/5 | I ♭V7(9.♭13)
後半が一部変わっています。
7.Inter2
I→V/7→I7/♭7→IV/6→IVm/♭6→I/5→#IVm7-5→V7sus4 | V7→
I→V/7→VIm7→IIIm7→IVM7 | V→III7/#5 | VIm7→IIm7 | IIm7/5→I
一般のカノン進行ともサビとも違う動き。15と来てV7/IVからSD、SDmに変化してTへ向かう動き、ベースクリシェ的に#4と、ベースが綺麗に半音で下る動きとコード間の色彩感がありつつスムーズな繋がりが実現されています。
8.Dメロ
IVM7→V→IIIm7→VIm7→IIm7→IIIm7→IVM7→II7/#4→V→
超素直な進行です。迷いようもなし。
9.DropC
I→V/7→Vm/♭7→VI7→IIm→♭IIaug→IV/1→V | III7/#5→...に変わっています。クリシェが転回されてベースが下るようになっています。
サブスクなし、YouTubeのMVもInter2で切るという初心者に不親切な仕様(ピンクの方の人は未だにサブスク解禁度合いが...)ですが、曲はマジでいいので是非聴いてほしいところです。
【コード進行解説】わーすた 清濁あわせていただくにゃー
わーすたぶちです。TIFで初披露された時にドルオタの友だちが「斎藤宏介が歌ってそう」って言ってたのでTBCイズム全開なのは間違いないです。
清濁あわせていただくにゃー - わーすた
作詞・作曲・田淵智也 編曲:岸田勇気
ベースは二家本さん、ギターは佐々木さんということでおそらくUK繋がりですね(?)。ピアノはもちろんわーすたの音楽プロデューサーである岸田さんによる演奏。
1.導入
Key=Gmajです。Gmajと言いつつB,C,Inter2以外はブルース使いまくりなのでトーナルハーモニーとモーダルハーモニーの入り混じった曲になっています。
2.イントロ
I | ♭III→♭VI | ♭II→Vm7-5 | I7→IVm7 | V→
I | ♭III6→♭VIM7 | ♭II6→Vm7-5 | I7→IVm | V
1→♭3→♭6→♭2という動き、田中秀和氏作編曲の「ゴッドソング」のAメロや「人類みなセンパイ!」のDメロにあるアレですね。IVmへ向かうハーモニックマイナーのツーファイブをやってSDm-Dに繋いでいます。
3.Aメロ
I→♭III6→IV7(9)→V | ♭IIM7→I→♭III6→IV7(9)→♭IIM7→
I→♭III6→IV7(9)→♭VI | ♭VII→I→♭III6→IVm7(9)→♭IIM7 | ♭IIIM7→
♭3,♭7の音やIV7などなど、ブルースを強く感じさせる音選びです。最後の小節ではIVM7まで全音でメジャーセブンスを平行移動させていて、マイナーセブンスの半音平行移動のようなニュアンスで使われています。
2Aでは尺が2倍に引き延ばされています。
5.Bメロ
IVM7→IIIm7 | = ♭IIIm7→IIm7→IM7 | IIm IIIm7→IVM7→IIIm7 | ♭IIIdim7→IIm7→V
♭IIIm7はIIIm7とIIm7をパッシング的に半音で繋ぐマイナーセブンスの平行移動、サビ前の方ではディセンディングdimの♭IIIdim7になっていますね。♭III6や♭IIIdim7は田淵氏が好んで使っているイメージがあります。
6.サビ
IVM7 | V→IIIm7 | VIm7→IIm7 | V→IIIm7-5 | VI→IIm7 | IVm6→IIIm7 | VIm7→IIm7→V | = #IVm7-5→
IVM7 | V→IIIm7 | VIm7→IIm7 | V→Vm7/♭7 | VI→IIm7 | IVm6→IIIm7 | VIm7→IIm7 | IIIm7→IVM7 | V→♭VI | ♭VII→I
453625までどベタに来てIImへ向かうSDm-D、Vm-VI7が来ると田淵曲だなあという感じがしますね。SD-SDm-3-6もまさにそう、田淵智也はサブドミナントマイナーが大好き。メロディの方向性としてもUNISON SQUARE GARDENの「シュガーソングとビターステップ」を色濃く感じさせます。
#4の箇所はピアノではこれがいちばん綺麗に響くと感じたのでこのコードを当てていますが、実際に聞くとD♭7(#9,#11)みたいな感じに聞こえます。
華麗にいただくにゃーで華麗に♭VI ♭VII Iを決めてきます。
7.Dメロ
VIm7→IIIm7→IVM7→I | #Idim7→IIm7→IIIm7→IVM7 | #IVdim7→V
#4の箇所、できるだけキーにダイアトニックに音を積んだり、進行先のコードスケールに沿った音にしようとする#IVm7-5が多用されますが、ここではテンションに♭9を選んで#IVdim7になっています。ベースのC→C#→Dと、コードのトップノートのB→B♭→Aというはさみうちのような動きが印象的です。
歌詞ちゃんと読んでないので深いことはわかりませんがステージのバックのLEDパネルに英語が表示されるのかっこいいですね。
【雑記】コードが分かるようになるにはどうしたらいいのか
※何も整理せず思い浮かんだことを超適当に書いているので参考未満で読んでください。読まなくてもいいです。
※これはコメントにて「癖のある楽曲をコピーするにはどうしたらよいか」という旨の質問に対する返信があまりにも長くなりそうなので記事の形をしているだけです。
王道のポップスをコピーできるようになったり、コード理論を学んだりしてこられたということは、ある程度の相対音感が身についているだろうと思われます。絶対音感がなくても耳コピはできるらしいので(管理人の場合絶対音感も併せて備えているので分かりませんが)、相対音感で耳コピができるということを前提に話を進めていきます。絶対音感があるのであればコードの部分を何回も再生して構成音を聞いてくれとしか言えませんからね。
相対音感というのは平たくいうと音程(音と音の距離)を認識する能力なので、基準となる音さえ発見できてしまえばあとは何度離れているかを聞きとることで耳コピができます。(多分)
さて、本題の「癖のある楽曲」を「複雑なコード進行の含まれる楽曲」という解釈をするのであれば、コードの、つまり、コードの構成音の各々の音程関係について把握することが必要になってきます。これに関して言えば様々なコードを聞いて響きや雰囲気を覚えてくださいとしかなかなか言えません。そもそも絶対音感もただの記憶ですからね。赤色を覚えているから赤色と言える、それと同じです。
コード進行という部分に目を向けてみると、こっちの方がコード単体を判別するよりも結果として楽な可能性があります。
どういうことかというと、例えば田中秀和氏関連でいえば、DIALOGUE+のデビュー曲「はじめてのかくめい!」のイントロに登場するC#m7(♭5)→F#7(♭13)→E♭aug/F→E7というコード進行ですが、これはVTuberのアズマリムの楽曲「人類みなセンパイ!」(まふまふ氏との共作)のイントロにも同じ度数で展開するほぼ同じコード進行が含まれますし、バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIに提供した「ゴッドソング」のサビに全く同じコード進行が存在します。
もっと有名なものでいえば「イキスギコード」の愛称(?)で呼ばれるブラックアダーコードですね。
前者のコード進行は#4からスタートして強進行、7から半音で6へ下り、その後ツーファイブへつなげるパターンです。#IVm7(♭5)やVI7は多く登場する部類のノンダイアニックコードですが、VII7や♭VII7は頻度が低めなのでなんか変な音がしたぞ、と気づければ勝ちです。
イキスギコードはコード単体を指すものの、それを含む進行としてとらえるとその役割がはっきりします。氏の使い方には主に2種類あり、ドミナント(セカンダリドミナント含む)の裏コードか、サブドミナントマイナーの働きをもつ♭VII7の変化形です。これについては、各楽曲のコード進行解説記事に書いてあるのでそちらを参照してください。
例が長くなりましたが、要は複数の楽曲で登場する作家さん特有のものであれば、それは答えを覚えてしまったほうが楽、ということです。ただ、田中秀和氏は無茶をしているわけではなく、シンプルな骨組みの上に(上記の進行でいえば元はセカンダリドミナントのツーファイブの連続です)装飾を加えているので、今までに習得してきたポップスの理論を拡張すれば理解できるはずです。
他ジャンルに目を向けてもいいかもしれません。コメントを頂いた記事で紹介しているy0c1eさん作曲の「ぼなぺてぃーと♡S」や大石昌良さん作曲の「ようこそジャパリパークへ」、田淵智也氏の例を出すと、わーすたさんに楽曲提供した「清濁あわせていただくにゃー」はブルースやジャズの方面から音を引っ張ってきてAメロを作っています。
シーンを問わずポップスはジャンルの坩堝で、ロック、ジャズ、ブルース、民族音楽などさまざまなエッセンスを取り入れて成り立っています。メジャーキーだけの世界にとらわれず、この音はどこから借りてきているのかをメロディから判断することでコードの解析にも役立てることができます。
こういったものをどこから吸収するかですが、やはりこれも数をこなすしかありません。
管理人もPC上での耳コピというものを初めて6年くらい経ちますが、コードの知識や音楽理論を学び始めたのはほんの2,3年前からです。勉強法といっていいレベルなのかは分かりませんが、謎の音にぶつかる度に理論はもちろん、同じ作家の曲であったりリファレンス(曲をオーダーする際に参考として提示される曲です)とされる楽曲を聞いて、共通するエッセンスを抜き出す、とりうる進行先のコードをリストアップしてそれらの変化形でないか考える、などでしょうか。
また、難しいコードの答えを見たときに、その核となる音は何か気づけるようになると後がスムーズです。Emajスケールの曲中でCaug/Dというコードが登場したとしましょう。イキスギコードで大切なのはベースをきちんと聞き分けて一般的なドミナントセブンスに戻して考えることなので、ここではD7になります。すると、これは♭VII7であり、キーの♭6の音を含む和音、つまりサブドミナントマイナーの可能性があるコード、という推測ができます。
ベースと上部構造を分離して考える例もあります。「ゴッドソング」の3C前はその最たる例で、ベースは裏→半音下の繰り返し、ギターはaugトライアドの全音アップ→半音アップの繰り返しです。1つの考えで詰まったらすぐ別の考えに移って解決できないか探してみましょう。
ということくらいです。木を見て森を見ずに陥ってはいけませんし、大きいくくりばかりに注目して内声の変化に気づけないのもよろしくありません。縦の響きと横の流れに同時に耳を傾けることで、多くのコード進行を捌けるようになるでしょう。
ここまで何も考ええずに書き連ねてしまったので、「本当はこれが聞きたいんじゃ」というものがあればまたコメントにてお願い致します。ただ、即効性のある回答はなかなか用意できかねるので、そこだけは理解しておいてください。今後の技術向上を願っています。