雨音工房

主に声優・アニメ楽曲のコード進行を解説していきます。たまにガジェットの話題をやるかもしれません

【雑記】コードが分かるようになるにはどうしたらいいのか

※何も整理せず思い浮かんだことを超適当に書いているので参考未満で読んでください。読まなくてもいいです。

※これはコメントにて「癖のある楽曲をコピーするにはどうしたらよいか」という旨の質問に対する返信があまりにも長くなりそうなので記事の形をしているだけです。

 

王道のポップスをコピーできるようになったり、コード理論を学んだりしてこられたということは、ある程度の相対音感が身についているだろうと思われます。絶対音感がなくても耳コピはできるらしいので(管理人の場合絶対音感も併せて備えているので分かりませんが)、相対音感耳コピができるということを前提に話を進めていきます。絶対音感があるのであればコードの部分を何回も再生して構成音を聞いてくれとしか言えませんからね。

相対音感というのは平たくいうと音程(音と音の距離)を認識する能力なので、基準となる音さえ発見できてしまえばあとは何度離れているかを聞きとることで耳コピができます。(多分)

さて、本題の「癖のある楽曲」を「複雑なコード進行の含まれる楽曲」という解釈をするのであれば、コードの、つまり、コードの構成音の各々の音程関係について把握することが必要になってきます。これに関して言えば様々なコードを聞いて響きや雰囲気を覚えてくださいとしかなかなか言えません。そもそも絶対音感もただの記憶ですからね。赤色を覚えているから赤色と言える、それと同じです。

 

コード進行という部分に目を向けてみると、こっちの方がコード単体を判別するよりも結果として楽な可能性があります。

どういうことかというと、例えば田中秀和氏関連でいえば、DIALOGUE+のデビュー曲「はじめてのかくめい!」のイントロに登場するC#m7(♭5)→F#7(♭13)→E♭aug/F→E7というコード進行ですが、これはVTuberのアズマリムの楽曲「人類みなセンパイ!」(まふまふ氏との共作)のイントロにも同じ度数で展開するほぼ同じコード進行が含まれますし、バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIに提供した「ゴッドソング」のサビに全く同じコード進行が存在します。

もっと有名なものでいえば「イキスギコード」の愛称(?)で呼ばれるブラックアダーコードですね。

前者のコード進行は#4からスタートして強進行、7から半音で6へ下り、その後ツーファイブへつなげるパターンです。#IVm7(♭5)やVI7は多く登場する部類のノンダイアニックコードですが、VII7や♭VII7は頻度が低めなのでなんか変な音がしたぞ、と気づければ勝ちです。

イキスギコードはコード単体を指すものの、それを含む進行としてとらえるとその役割がはっきりします。氏の使い方には主に2種類あり、ドミナント(セカンダリドミナント含む)の裏コードか、サブドミナントマイナーの働きをもつ♭VII7の変化形です。これについては、各楽曲のコード進行解説記事に書いてあるのでそちらを参照してください。

例が長くなりましたが、要は複数の楽曲で登場する作家さん特有のものであれば、それは答えを覚えてしまったほうが楽、ということです。ただ、田中秀和氏は無茶をしているわけではなく、シンプルな骨組みの上に(上記の進行でいえば元はセカンダリドミナントのツーファイブの連続です)装飾を加えているので、今までに習得してきたポップスの理論を拡張すれば理解できるはずです。

他ジャンルに目を向けてもいいかもしれません。コメントを頂いた記事で紹介しているy0c1eさん作曲の「ぼなぺてぃーと♡S」や大石昌良さん作曲の「ようこそジャパリパークへ」、田淵智也氏の例を出すと、わーすたさんに楽曲提供した「清濁あわせていただくにゃー」はブルースやジャズの方面から音を引っ張ってきてAメロを作っています。

シーンを問わずポップスはジャンルの坩堝で、ロック、ジャズ、ブルース、民族音楽などさまざまなエッセンスを取り入れて成り立っています。メジャーキーだけの世界にとらわれず、この音はどこから借りてきているのかをメロディから判断することでコードの解析にも役立てることができます。

 

こういったものをどこから吸収するかですが、やはりこれも数をこなすしかありません。

管理人もPC上での耳コピというものを初めて6年くらい経ちますが、コードの知識や音楽理論を学び始めたのはほんの2,3年前からです。勉強法といっていいレベルなのかは分かりませんが、謎の音にぶつかる度に理論はもちろん、同じ作家の曲であったりリファレンス(曲をオーダーする際に参考として提示される曲です)とされる楽曲を聞いて、共通するエッセンスを抜き出す、とりうる進行先のコードをリストアップしてそれらの変化形でないか考える、などでしょうか。

また、難しいコードの答えを見たときに、その核となる音は何か気づけるようになると後がスムーズです。Emajスケールの曲中でCaug/Dというコードが登場したとしましょう。イキスギコードで大切なのはベースをきちんと聞き分けて一般的なドミナントセブンスに戻して考えることなので、ここではD7になります。すると、これは♭VII7であり、キーの♭6の音を含む和音、つまりサブドミナントマイナーの可能性があるコード、という推測ができます。

ベースと上部構造を分離して考える例もあります。「ゴッドソング」の3C前はその最たる例で、ベースは裏→半音下の繰り返し、ギターはaugトライアドの全音アップ→半音アップの繰り返しです。1つの考えで詰まったらすぐ別の考えに移って解決できないか探してみましょう。

 

ということくらいです。木を見て森を見ずに陥ってはいけませんし、大きいくくりばかりに注目して内声の変化に気づけないのもよろしくありません。縦の響きと横の流れに同時に耳を傾けることで、多くのコード進行を捌けるようになるでしょう。

 

ここまで何も考ええずに書き連ねてしまったので、「本当はこれが聞きたいんじゃ」というものがあればまたコメントにてお願い致します。ただ、即効性のある回答はなかなか用意できかねるので、そこだけは理解しておいてください。今後の技術向上を願っています。