雨音工房

主に声優・アニメ楽曲のコード進行を解説していきます。たまにガジェットの話題をやるかもしれません

【コード進行解説】水瀬いのり Well Wishing Word

さてようやく満を持して水瀬いのりさんの8thシングル「ココロソマリ」が先日発売となったわけですが、バラード、ロック、ポップチューンと3曲それぞれ違う方を向きつついずれも素晴らしいクオリティを誇った素敵な1枚に仕上がっていますね(分かった風に話してるけど実は何も分かっていない)

「僕らは今」はたまに同主短調からの借用だったりセカンダリドミナントが出てくるくらいで特に難しい箇所はないので記事を出す予定はありません。そもそもこのブログも自分の音楽理論の勉強ノートの代わりみたいなもんなのでそういうテンションでお願いします。

変な話しましたが今回は3曲目の「Well Wishing Word」のコード進行を見ていくことにしましょう。

1.導入
Key=Fmajです。転調なし。WWWといえば転調みたいなところないですか?()

 

2.イントロ
まず最初の4小節、I→I VII ♭VII | VI→IIm→IIm IIIm #IVdim | Vです。
前半はメジャーコードを連続して半音下降で鳴らすことで力強さを感じますね。VIはV7/IIなのでIImへ。後半は主に順次進行ですがIVの箇所でIVではなくそのルートを半音上げてV7/Vの役割を持ち、アセンディングディミニッシュである#IVdimに取り換えられています。リディアンからのモーダルインターチェンジと捉えることもできます。
後半はI/3 | ♭IIIdim7→IIm7 | V #IVdim7→I/3 | ♭3dim7→IIm7 | V #IVdim7→IV、3からベースを半音でディセンディングディミニッシュを挟みつつ下ってツーファイブ、さらにパッシング的に#IVdim7を挿入。これを2回繰り返して最後はサブドミナントマイナーです。末尾がSDmだと「お?」ってなってこの後の展開に期待感が出ますね。

 

3.Aメロ
前半8小節、I→I→IV→III7/#5→IVM7 | V→IIIm | VIm→IIm7(9)→V | ♭VI ♭VIIです。III7ってV7/VIじゃないのって思いますが、IVM7のベースB♭の上はD,F,AでVImです。王道進行と強進行、そしてツーファイブ。♭VI,♭VIIは本当に流行っていますね。同主短調Fminからの借用です。
後半はI→I→IV→III7/#5→IVM7 | V→III7/#5 | VIm→♭VII→V | IV、最早ツーファイブのような感じでIImの箇所を♭VIIだったり♭VIIM7でプリドミナント的に置き換えるのは定番の動きです。最後はサブドミナントで締めです。2番ではAメロは後半部分だけ、その上青く色を変えた箇所のIVもIII7/#5に変えられています。

 

4.Bメロ
最初の6小節ははI/3→IV→II/#4→V | V/4→III7/#5→VIm V | #IVm7-5です
Aメロ末尾のIVから順当にベースが下って3からスタート、A→B♭→B→Cと半音で上る流れを見せ、V/4、サウンド的だけ見るとV7/IなのでIに行きそうですが、こういう場合のドミナントセブンスは「Star!!」のBメロにも出てきますが、解決を目的とせず、ベースの流れを綺麗になるように調整した結果サウンドだけドミナントセブンスの形になったものですね。その後はV7/VIを挟んでVIから下降していきますがここでもIVM7ではなく#IVm7-5が使われています。リディアンサウンドがこの曲は多めで楽しいですね。
次はIIm7 IIIm | IV→N.C.→IIm7 IIIm | IV→N.C.ですね。ここはダイアトニックの順次進行なので大丈夫ですね。N.C.部分で入ってくるクラップやベースソロが非常にいい味出してますね。
IIm7 IIIm | IV→IIm7 IIIm | IV II/#4→V→♭VI | ♭VII、最後のIVの後はV7/Vを挟んでVへ、そして同主短調からのコード借用で全音でIへアプローチします。

 

5.サビ
今更ながらこの曲アンティシペーションだらけで、コードチェンジのタイミングが半拍食ってるので正しい表記ではないですが許してください。前半8小節はこんなです。
I→V/7→Vm/♭7→VI7→IIm→♭IIaug→IV/1→V、Iからベース半音下げ、Vm/♭7はミクソリディアンのモーダルインターチェンジと云えなくもないですが、メロディーに含まれるAの音やその後のV7/IIも含めて考えると実質的にはIImのセカンダリドミナントのSDm→Dかなという感じがしますね。そしてIImからベース下降型のクリシェ。IV/1の後ろはVIIm7-5のこともありますが、この曲のようによりドミナント色の強いVで代用されれることが多々あります。
2巡目、まず最初の8小節はI→IIIm7/7Vm/♭7→VI7 VIdim7 | VI7→IIm | V→III7 | VIm→♭VI | ♭VII→I | #Idimですね。

V/7だった箇所、メロディとしては1巡目でも3度の音は入っていましたが、伴奏側のコードトーンとして迎え入れることでダイアトニックコードであるのに雰囲気がかなり変わる印象を受けます。VI7の箇所はVIdim7になったりしてびっくりしますが、メロディに合わせてリハーモナイズしているだけで全体としてはVI7のままですね。その後、王道進行でなくてもそうですが、IVの箇所を同じ役割を持つIImに置き換えてしまうのはよくある話ですね。最後は#Idimで半音下からIImへアプローチ。

IIm7 | IIm7-5→I/3 | ♭IIdim7→♭VI→♭VII→I、♭IIdim7→♭VIは強進行で繋げてあります。

 

6.間奏

I→I→I→I→Im→Im→IIm7 | IIIm7→IVM7 | V

最初の4小節はコードこそメジャーでいきますがメロディはマイナーになっているという上下でスケールの違う形になっています。「ようこそジャパリパークへ」のAメロでも見られる形ですね。

 

7.Cメロ

IV→IVm→IIIm7→V7→IIm→III/#5→VIm | ♭VIaug→I/5 | #IVm7-5

最初の8小節は王道進行の変化形とその末尾をセカンダリドミナントとした動き、そして半音下降という綺麗な流れですね。

IV→IVm→IIIm7→VI7(♭9)→♭VII | IV/6→♭VIdim7 Vdim7 | IV #IVm7-5→V

後半はカオスそうな動きをしていますが、前半部分は前と同じですね。VI7から♭VIIへの進行ですが、まずVI7はV7/IIなのでIImに行く、その上でベースをDから半音上げてE♭へもっていく、とすればコードの動きもベースラインも綺麗に収まっていることが分かりますね。♭VIIからVdim7まで半音下降、ここはdim7が連続するのでかなりスケールの怪しい感じを醸し出していますね。

 

 

どうですかね、Well Wishing Word。購入から2週間が経とうとしているのに未だ歌詞をしっかり聞けていないのでなんとも深いところまで話ができないのが残念ですが(歌詞を聞こうと思ってもバックの楽器隊が楽しすぎてそっちに意識を持っていかれてしまうので)、WWW!柳舘周平!みたいなのを想像していたので入りのダンダカダカダカでまずビビりましたしラパパデュワデュワってFmajのスケールで歌い始めてしまったので予想と大幅に食い違うものでしたが、めっちゃ楽しいので満足です(?)伴奏は鬼のように難しいですけど(ぴえん)

Bメロとかクラップ入れるもよしベーシストの顔つきになって多動するもよしで非常にライブが楽しみですね。せっかく今月働きまくって富豪になったのでツアー回れる限り回りたいところです。では。