雨音工房

主に声優・アニメ楽曲のコード進行を解説していきます。たまにガジェットの話題をやるかもしれません

【コード進行解説】水瀬いのり ココロソマリ (*∂v∂)👉🌸

いや、ヤバいですねこの曲は。
ついに水瀬いのりさんの8thシングル「ココロソマリ」が先日発売になり、早速意識を失って耳コピしたわけですが、大満足のバラードでございます。当方も町民集会で初めて聞いた身だったのですが良すぎて途中から頭抱えてました。

ということで今日はそのココロソマリのコード解説をして優勝していくことにするわ...(ねっとり)

 

 

1.導入
イントロ~BメロがKey=Gmaj、その他はKey=Amajです。水瀬いのりさんの曲での全音転調はココロソマリが初ですね。

 

2.イントロ
この曲がGmajであることを確信したことで有名な最初の2小節(?)は順次進行で始まります。IV(9) | I/3→IIm | Iです。順次進行でいうとベースが3度の箇所はIIImが用いられるのが通例ですが、この辺りはメロディと相談してI/3に変わったりします。
3小節目に入るとストリングスが参加してきてIVM7(9) | I/3→IIm7 | V7(♭9,11)と末尾がツーファイブになり、コードトーン的にもかなり豪華なサウンドになっています。V7に乗ってくるテンションは通常長9度、完全11度、長13度が想定されますが、9度の部分が短9度に変化して、Dミクソリディアン♭9(D,E♭,F#,G,A,B,C)のコードスケールとなっているので、ここではGハーモニックメジャー(G,A,B,C,D,E♭,F#)の世界観が持ち込まれているということになります。


3.1番Aメロ
割と重いので4小節ずつ切りますね。前半はIadd9 | #Vdim→VIm7 | ♭VII→IVM7(9) | IIm7 VIm7→#IVm7-5 | IV/5 IVです。イントロ末尾のツーファイブを受けてトニックからスタート、#VdimはV7/VI(V7 of VI)、今後この書き方が増えると思いますが、要はVIのセカンダリドミナントだよということです)のルート省略形、半音上がって♭VII、変進行してIVM7(9)、そこからはII7(9)を目指すリレティッドIImとV7/II(形こそマイナーですが)を1拍ずつ鳴らしてII7のルート省略形の#IVm7-5にたどり着きます。IV/5って何だよってなりますけど#IVm7-5の解決先を考えるとV7sus4(9)という感じがしますね。順次進行で最後はIVに落ちます。
後半4小節は順次進行の流れを汲んでI/3から始め、今度は上昇してIVへ、I/5とVImの間にV7/VIの代理の#Vdim7を挟んであります。強進行してツーファイブワンといくのかと思いきやVIm7(9)に代理解決。平行調のEナチュラルマイナーの世界観に引き込まれます。

 

4.1番Bメロ

 

IVM7→I/3→VIIm7-5 III7/#5 | VIm7→#IVm7-5 | V/4→IIIm7 | Im/♭3→IIm7 | IIIm7→IV | V VIです。

まずサブドミナントからトニックに進行しつつ、ベースは半音下降で終止ではないことを匂わせます。次はVIm7を目指すリレティッドIIm→V7/VI、VIm7の進行先としてIIm7とかV7とかがありますが、ここではIIm7を採用した後にメジャーに変えてテンション9thまで載せてしまっておまけにルートを省略された#IVm7-5の形で用いられています。そこから半音で同主短調の雰囲気をぶち込みつつIIm7まで下った後は順次進行。最後は全音でメジャーコードを連続させることで強い転調感をもたらします。町民集会では「は!!????!?!?嘘だろ何が起きた???」ってビビりながら聞いてましたねここは。半音下降の部分ははじめてのかくめい!とかで聞きなれていたので曲とシンクロできていただけに強い衝撃を受けました。

 

5.サビ

えーっとここまで気合い入れて書いておいて何ですけど最初の4小節、東山奈央さんの「群青インフィニティ」と全く同じ進行なんですよね。そっち見てください()

 raingadgetmusic.hatenablog.com

その後はIVM7 | IV/5→#Vdim7 | VIm7 I/5→IIm7 | V7→Iとセカンダリドミナントを挟みつつ順次進行やツーファイブワンなど基本的な進行で構成されています。#Vdim7はV7(9)/VIomit1ですが、進行先のVIm7に対して半音下からアプローチするアセンディングdimなんて呼ばれたりもします(パッシングdimの一種)。その後はIVから順次進行で下って最後は♭VIIで同主短調風味のアクセント付けをしてからV7→Iで〆ですね。

 

6.繋ぎ

I IIm I/3→IV V VIm→IV(9)→II/#4 | Vsus4 Vです。

 

普通の曲ならここで間奏の解説始めたりするんですが、この曲の編曲を担当されたのはなんと白戸佑輔先生。1番と2番で同じコード進行を使うことはほぼありません。ということで明らかに変わった部分を赤くしながら2番の解説に入ります。

 

7.2番Aメロ

前半はIadd9 | #Vdim→VIm7 | ♭VII→IVM7(9) | IIm7 VIm7→#IVm7-5 | V V/4です。最後の2拍のコード変わったの見逃がしませんからね。

後半はもう耳塞いでも分かるんじゃないですか、VIm7 | V/7I #Vdim7 | VIm7 I/5→IIm7 | IV/5→I | IV/1 Iです。

1番ではB→C→D→D#→Eと上がっていたベースがE→F#→G→D#→E→Dってなっちゃうんですから編曲の力って偉大ですね。同じメロディに対して全く違う響きのコードを当ててしまう白戸氏の特徴が滲み出ています。最後のIV/1→IはSD→Tのベース固定型でなかなかの解決感が感じられます。SDをSDmとしてもオシャレに決まります。スリーコードは中々有用性が高くていいですね。

 

8.2番Bメロ

2番は転調してないですね...なんてこった。

前半4小節はIVM7(9) | VVIm7 | IIm7IVM7 | #Vdim7→VIm7 | Vm7 I7です。聞きましたか皆さん最後のツーファイブを。この後絶対IVM7だと思いますよね。思いませんか?

後半は#IVm7-5 | V/4→IIIm7 | ♭IIIdim7→IIm7→IIIm7→IV | V VIです。

#IVm7-5の前にVImがいない上にこれの前がリレティッドIImとV7/IVなのでC#m7-5の意味合いが変わってきます。といっても簡単なことで、I7の解決先IVM7(C,E,G,B)のルートを半音上げたものがC#m7-5(C#,E,G,B)というだけです。♭IIIdim7はIIm7に対して半音上からアプローチするディセンディングdimです。

 

9.2番サビ

前半4小節は1番と同じ、後半はIVM7 | IV/5→#Vdim7 | VIm7 I/5→II7/#4 | V7→Iとなります。ツーファイブのツーがメジャーになりV7/Vとなった格好です。

 

10.間奏

IV(9) | I→V/7 #Vdim7 | VIm7→I/♭7→Vsus4 V

特にひねりはありません。I7はV7/IVですがIVには行かずVの方へ向かいます。アニソン系でも偶にこういう解決を目的としないドミナントセブンスもあるので要注意ですね。

 

11.Cメロ

IIm7 V7 | I→IV V | I→♭VII IV/6 | I/5→III7 III7/#5 VIm→♭VII→♭VII→Vsus4 | V/4→I/3 | V

ツーファイブワン、SD→D→Tは大丈夫ですね。次はベースをG,F#,Eと下らせるライン、III7はV7/VI、その次の2小節連続して♭VIIを鳴らすことで、かなりミクソリディアン色を出したサウンドに。最後はベースをE,D,C#と下らせ、Vで締め。

 

12.落ちサビ

I→I(9) | IIIm/7VImVm | I→IV→III7 #Vdim7 | VIm7→II7/#4→V

I(9) | IIIm/7の箇所は元々V7/VIだったのでかなり違う印象を受けますね。VImの手前でベースをG#に置くことでスムーズな繋ぎを実現。この辺からメロディーも弄り始めてこの後の展開のさらなる変化を予想させています。

 

13.ラスサビ

基本1番と同じで、その8小節目と9小節目の間に以下が挿入された形です。

(8)→II7/#4 | V7→I | VI7→(9)

VI7はV7/IIだからIIm7に行くんじゃないの?というのは正しいですが、行き先のIIm7はよく見るとルートBの上はD,F#,Aなので、もちろんVI7からIVに進行できます。

唄が終わるとIV(9)→I/3 | IVm/5→Iと進んで終わります。

サブドミナントで解決を保留するというのはよくあることですね。IVm/5はサブドミナントマイナーの香りを漂わせつつEをベースに持つコードで書き直すとE7(♭9,11)omit3,5となり、SDmを匂わせながらドミナントの顔ももちつつ、ハイブリッドコードの状態で不思議な響きをもったコードです。最後の最後ですごいのを持ってきましたね。

 

以上となります。毎回言ってる気がしますが水瀬いのりさんの曲は攻撃力が高いですね。うるさい感想などはYouTubeの方に書いていますのでそちらの方も何卒よろしくお願いします。

では。

よい子のい○りまちのみなさんはぼくの分までMVもしっかりチェックしましょう。