雨音工房

主に声優・アニメ楽曲のコード進行を解説していきます。たまにガジェットの話題をやるかもしれません

【コード進行解説】DIALOGUE+ はじめてのかくめい!

DIALOGUE+は本質ユニット。

 

 

1.導入

全曲通しでKey=Gmajですね。このくらいエネルギッシュでハイカロリーな曲がGmajだと燃えませんか?

 

2.Intro

れぼるじゃーんはG,B,D,Gの積み重ねです。初めて聞いた時はここでもう"""好き"""を確信していました。

 I→ = → = → = →IIm7 | I/3→IVM7 | ♭VII7-5(9)omit3→I

1,2,3,4..と来たら普通は5じゃないですか?いきなりブラックアダーコードをブチ込まれて横転しました。

答えから言うと♭VII7-5(9)omit3(長いな)はサブドミナントマイナーの代理なんですが、サブドミナントマイナーについて整理していなかったと思うのでちゃんと触れておこうと思います。

サブドミナントの3度の音が半音下がっている、つまりスケールにおける♭6の音を含むコードがサブドミナントマイナーおよびその代理として使用できることになります。

IIm (2,4,6)→IIdim (2,4,♭6)

IIm7 (2,4,6,1)→IIm7-5 (2,4,♭6,1)

IV (4,6,1)→IVm (4,♭6,1)

IVM7 (4,6,1,3)→IVmM7 (4,♭6,1,3)

VIIm7-5 (7,2,4,6)→VIIdim7 (7,2,4,♭6) (このコードはドミナント要素の方が強いですが)

さて困りました。♭5だのテンション9thだのを入れる前に♭VII7なんてどこにも出てきませんね。

原点に立ち返って、IVM7の後にIVmであるCmを使うとして、丁度そのコードの鳴るタイミングのメロディラインであるAの音を加えてCm6としたIVm6 (C,E♭,G,A)を考えてみましょう。そうするとIIm7-5であるAm7-5 (A,C,E♭,G)の構成音に一致しました。あとはこのIIm7-5の短3度下にベースを追加してやるとあら不思議、♭VII7(9) (F,A,C,E♭,G)になりました。さああとは5度を半音下げ、3度を抜いてハイブリッドコードの形にすれば、♭VII7-5(9)omit3の完成です。

サブドミナントマイナーこねくり回すのは分かったけど短3度下にベースを追加するなんて聞いてないよ!というのも分からなくはないですが、4から♭7というのはベースが強進行していて、また、IVm→♭VII7といったバックドアドミナントの動きに一致することになるのでそこまで脈絡のない話ではないのです。ここだけ取り出してみると割と採用例はあり、内田真礼さんの2nd Album「Magic Hour」に収録されている「My Star is Here!!」(作詞作曲:ZAQ, 編曲:y0c1e) のBメロであったり、ブラックアダーコードの形こそしていませんが、Wake Up, Girls!さんの「7 Girls War」(作詞:辛矢凡, 作曲:神前暁田中秀和, 編曲:田中秀和) の3:59~で使われています。

Bメロ冒頭、CM7→F7-5(9)omit3→Bm7→Em7 (IVM7→♭VII7-5(9)omit3→IIIm7→VIm7, Key=Gmaj)

3:59~、G→C7→F#m7→Bm7 (IVM7→♭VII7→IIIm7→VIm7, Key=Dmaj)

ということで、♭VII7もサブドミナントマイナーの代理として使えるよ、という話でした。

もうちょっと脱線して、♭VII7-5(9)omit3におけるコードスケールも考えてみましょう。

F(1),G(9),A(3),B(#11),C(5),D(13),E♭(♭7)ということなので、Fリディアンドミナント、Gから見たモードで考えると、G(1),A(9),B(3),C(11),D(5),E♭(♭13),F(♭7)なので、Gメロディックメジャー(Gミクソリディアン♭13)となります。

あれ、まだ6小節くらいしか終わっていませんね。

Hello, nice to meet you, yeah!のところもまたびっくり要素ですね。ゆっくり見ていきましょう。

#IVm7-5 | VII7(♭13)→♭VII7-5(9)omit3 | VI7

さあ今回の♭VII7-5(9)omit3はサブドミナントマイナーの代理ではありません。直後にVIIがあるので、前後のマイナー→メジャーの動きを考慮すると、もともとはIIIm7のBm7で、これをドミナントセブンスの形にしたB7を弄り回して作ったブラックアダーコードと捉えるのが自然でしょう(ベースは1拍ずつトライトーンで遊んでいますが)。となると、その前のF#7(♭13)はBメロディックマイナーやBハーモニックマイナーのスケールで使えるドミナントということになりますし、F#7(♭13)の前のC#m7-5はF#ハーモニックマイナーの5度のコード、というようにつながっているわけです。どんどんモードがチェンジしていてめまぐるっぱですね(?)。

IIm7→IIm7/5 | V7(♭9)→IIIm7→VI7(♭9)

1-6-2-5の循環進行の前後を入れ替え、1を3で代理した2-5-3-6の逆循環進行ですね。なんと#IVm7-5からV7までブラックアダーコードをIII7とみなせば強進行の連続です。

IIm7 | IIIm7→IVM7 | ♭VII VI ♭VI→V→ = | ♭II7-5(9)omit3

IVM7まで順次進行、Vに行きたいんですが、その前に♭VIIから半音ずつ3連符で下降してアプローチ。ダメ押しで追いブラックアダーコードの♭II7-5(9)omit3。これは最早定番ですね。

 

3.1A

I→IV | V→I→IV | V→#IVm7-5 | IVM7→IIIm7 | ♭IIIdim7→IIm7 | ♭II7→I

嵐のようなイントロとは打って変わって最初の4小節はスリーコードのみ。2回目のドミナントの後はIに行っていません。アニソンでよく出てくる例を見てみましょう。

③IIImへ

2-5-3-6の逆循環進行、イントロで出てきましたね。もしくは王道進行4-5-3-6なんかも定番中の定番です。はじめてのかくめい!の作曲者である田淵智也先生も迷ったら4536って言っていました。

0:30~ EM7→F→Dm7→Gm7 (IVM7→V→IIIm7→VIm7,Key=B♭maj) アイマイモコ - 水瀬いのり

④IVへ

解決の保留です。

 0:44~ A7→GmM7 (V7→IVmM7, Key=Dmaj) Wonder Caravan! - 水瀬いのり

VIm

いわゆる偽終止というやつです。

1:04~ CM7→D→Em7 (IVM7→V→VIm7, Key=Gmaj) 夢のつぼみ - 水瀬いのり

 

さて、いのり縛りをしてしまったわけですが、Vの後に#IVm7-5のくる例なんてないじゃないか!って思いそうになったそこのあなた。#IVm7-5の構成音をよく見てみると、#4,6,1,3ということで、4,6,1,3のIVM7のベースを半音上げた変位和音という見方ができます。また、#IVm7-5の第1転回形は6,1,3,#4ということでVIm6と構成音が同じです。つまり#IVm7-5も、解決の保留や偽終止として用いることができるわけですね。

長くなりましたが、#IVm7-5からIへは、ベースが半音ずつ下降する動きになっています。♭IIIdim7はIIIm7とIIm7を繋ぐディセンディングディミニッシュです。♭II7は前後を見るとIIm7→V7→Iと行きたいところでV7の代わりに裏コードを使用している、ということになります。

2巡目に行きましょう。

I→IV | V→VIm7→Vm7 | Iaug→#IVm7-5 | IVM7→IIIm7 | ♭IIIdim7→IIm7 | ♭II7→I

Vの後のVIm7はまさしく偽終止、Vm7が出てきた時点であ、これはIVM7を目指すセカンダリドミナントのツーファイブだなと我々は思うわけですが、ここは編曲:田中秀和 (MONACA)。IVM7を変位和音の#IVm7-5にするだけでは飽き足らず、I7はIaugになっています。仮のツーファイブ、そしてその進行先が変位和音というのは、水瀬いのりさんの「ココロソマリ」(作詞:水瀬いのり, 作曲:櫻澤ヒカル, 編曲:白戸佑輔) の2Bに例があります。

2:17~ Dm7→G7→C#m7-5 (Vm7→I7→#IVm7-5, Key=Gmaj) ココロソマリ - 水瀬いのり

 

4.1B

IVM7→♭VII7-5(9)omit3→IIIm7→IIIm7/6 | VIm7→IIm | IIIm→IV | V→♭VI→♭VII

この♭VII7-5(9)omit3はサブドミナントマイナーの代理ですね。ちょうど上記で挙げた内田真礼さんの「My Star is Here!!」のBメロと全く同じ進行です。その後は順次進行、そして同主短調からのモーダルインターチェンジ♭VI→♭VIIを通ってサビへ向かいます。

 

5.1C

I→V/7→#Vdim7→VIm7→IVm6→I/3→IIm7→♭VIIM7 | V/7

#Vdim7はアセンディングディミニッシュでV7/VIの役割もありますね。VImからIVm6に飛ぶのもエモいです。♭VIIM7はどこから出てきた、という感じですが、IIm7の短3度下にベースを追加すると♭VIIM7になるので、これはプリドミナントの役割がある、ということになります。ドミナントの前に♭VIIM7を置く曲としては、アイドルマスターシンデレラガールズのアニメのOPテーマ「Star!!」(作詞:森由里子, 作編曲:田中秀和)が挙げられます。

1:11~ F#m7→DM7→B7 (IIm7→♭VIIM7→V7, Key=Emaj) Star!! - CINDERELLA PROJECT

 

2巡目に行きましょう。

I→V/7→Vm7/♭7→VI7→IIm7 | IVm6→IIIm7 | VIm7→IIm7 | IIm7/5→I | #Idim7→

#IVm7-5 | IVM7→IIIm7 | ♭IIIdim7→IIm7 | V7→I

1巡目とコード進行が変わります。IからVI7まで半音で下降していくのはよくある形ですね。この場合だとVm7はIIm7に対するサブドミナントマイナー、VI7はV7/IIということになりますね。この進行はTrySailさんの「adrenaline!!!」(作詞,作曲,編曲:中野領太) などに例があります。

1:12~ G→D/F#→Dm7→E7 (I→V/7→Vm7/♭7→VI7, Key=Gmaj) adrenaline!!! - TrySail

V7/IIのVI7の後は逆循環進行の2536...ではなく5の部分がサブドミナントマイナーに置き換わっている形です。

ツーファイブワンの後に#Idim7が、そしてその後に#IVm7-5の半音下降が続いています。#Idim7というコードに着目するのであればアセンディングディミニッシュでIIm7かな~という感じですが、実際の進行先が異なるのでアセンディングディミニッシュではありません。そこで、dim7の転回形は元のコードの構成音をルートに持つdim7と、異名同音で一致する性質を活かして、#Idim7をIIIdim7に変えてしまいましょう。すると、これはI7(♭9)のルート省略形と考えることができるので、安心してIVM7...ではなくそのベースを半音上げた#IVm7-5に進行できます。

 

6.Inter1

れぼるじゃーん~スタートまではイントロと同じ進行、その後に

#IVm7-5 | IVmM7→I/3→Im/♭3→V→ = | ♭II7-5(9)omit3

でAメロへ入ります。

 

7.2A

1巡目、I→IV | V→I→IV | V→#IVm7-5 | VIIaug→Iaug7 | VI7→IIm7 | ♭II7→Iです。

イントロと比較してみましょう。

イントロ:#IVm7-5 | VII7(♭13)→♭VII7-5(9)omit3 | VI7→IIm7

2番Aメロ:#IVm7-5 |  VIIaug →   Iaug7   | VI7→IIm7

VII7(♭13)の構成音はF#,A#,C#,E,D、VIIaugの構成音はF#,A#,Cx(D)とかなり近いですし、♭VII7-5(9)omit3はF,C♭(B),E♭,G、Iaug7はG,B,D#,Fと構成音が完全に同じですね。

VIIaugといいつつ、5thの音はドミナントモーションに影響を及ぼすわけでもないので役割はVIIと同じと考えていいですし、Iaug7は♭VII7-5(9)omit3のパーミテーション違いに当たるので、進行の骨組みとしてはイントロと同じ、と捉えられます。

後半部分は1番と同じです。

 

8.2B

IVM7→♭VII7-5(9)omit3→IIIm7→IIIm7/6 | VIm7→IIm | IIIm→IV | V→♭VI→♭VII | ♭VII VI ♭VI→V

おおむね1番と同じですが、末尾に2小節追加されてサビの入り方を1番とは変えています。ここは田淵智也 (UNISON SQUARE GARDEN) 要素ですね。

君の瞳に恋してない (作詞・作曲:田淵智也, 編曲:UNISON SQUARE GARDEN)

 

9.2C

殆ど1番と同じですが、終わりの部分が

#IVm7-5 | IVM7→IIIm7 | ♭IIIdim7→IIm7 | V7→IVm/1→I

となっていて、サブドミナントマイナーの第2転回形を挟んで解決するタイプです。Wake Up, Girls!さんの「Polaris」(作詞:Wake Up, Girls!, 作編曲:田中秀和) のサビ終わりがこのパターンです。

0:12~ A♭m7→D♭7(♭9)→C♭m/G♭→G♭ (IIm7→V7(♭9)→IVm/1→I, Key=G♭maj)

Polaris - Wake Up, Girls! 

 

10.Inter2

堀崎翔さんのロケンロなギターソロです。

#IVm7-5→IVmM7→IIIm7→♭IIIdim7→IIm7→V7→IM7→VI7(♭13)→

#IVm7-5→VII7(♭13)→♭VII7-5(9)omit3→VI7(♭13)→IIm7→IIIm7→IV→IIm7/5 | Iaug

前半は#IVm7-5からの半音下降でツーファイブ、後半はイントロと同じ形をもってきて順次進行、最後Iaugはこの後にIVM7があることを考えるとI7を弄ったのかなあという感じがします。AメロのVm7 | Iaug→#IVm7-5の流れと骨格は同じです。

 

11.3B

IVM7→IVmM7→IIIm7→IIIm7/6 | VIm7→IIm | IIIm→IV | V→♭VI→♭VII | ♭VII VI ♭VI→V

サブドミナントサブドミナントマイナー→3-6の流れ、装飾されていないものがやっとここで登場です。後半部分は2Bと同一です。

 

12.DropC

I→V/7→V | #Vdim7→VIm7→I7(V7/IV)→IVM7→I/3→IIm7→IV/1→♭VIIM7→V

です、おおむね通常のサビの前半部分を踏襲しています。

 

13.3C

2巡目の進行が変えられています。

VIm7→V/7→I→VI7/#1

 

どうでしょうか、前回の曲ではブラックアダーコードはドミナントセブンスの裏コードから派生したコードとして紹介しましたが、今回は

サブドミナントマイナーからの派生

ドミナントセブンスをaugにしたものの転回形

という2つの新しい用法が出てきました。形や響きが面白いので分数augや田中aug、挙句の果てにはイキ○ギコードなんて呼ばれたりしますが、用いられるプロセスというのは1通りではありません。ブラックアダーコードが出てきたときには元の形を意識する、ということが楽曲分析をする上ではとても大切です。

 

み゛ん゛な゛か゛わ゛い゛い゛な゛あ゛

 

今日はDIALOGUE+JAM vol.2の日でした。一刻も早くこの状況が収まることを願って締めたいと思います。

【コード進行解説】麻倉もも Shake it up!

Agapanthus初日らしいので

 

 

 1.導入

イントロとサビはGアイオニアン(Gmaj)、AメロはB♭ミクソリディアン、BメロはA♭ミクソリディアンとFミクソリディアンです。モーダルインターチェンジが多すぎて不安になりましたが多分これで合ってます。

 

2.イントロ

 

I→♭VII→♭III | VI ♭VII→Im | ♭III→V

ここまで来るとIの方が逆に浮いているような感じがしますね。VIとV以外は平行短調からのモーダルインターチェンジですね。サビ前でVをちゃんと鳴らして平行短調の世界が終わってGアイオニアンの世界に戻ります。

 

3.0サビ

1サビ2サビとはコード進行が違うのでやります。

I→V7 | III7/#5 (V7/VI)→VIm7→Vm7 | I7 (V7/IV)→IVM7→IIIm7 | VI7 (V7/II)→IIm7 I/3 | IV II7/#4 (V7/V)→V

皆さんお待ちかねカノン進行のツーファイブ型ですが、今回は2小節目がツーファイブではなく元のVを活かし、6小節目のファイブをマイナーにせずメジャーのままとしています。最後はIIm7からVに向かって順次進行しつつセカンダリドミナントを挟む定番の形です。

 

4.繋ぎ

Im→♭VII→♭III | VI ♭VII→Im | ♭III→IV | V→♭VIIsus4 | ♭VII

平行短調の世界がIV | Vで終わったな~と見せかけて短3度上のドミナントが鳴って転調します。青空のラプソディと同じような感じですね。

 

5.Aメロ

B♭ミクソリディアン、ということなのでここでようやくミクソリディアンについてきちんと触れておきましょう。

ミクソリディアンモードは、メジャースケール(アイオニアンモード)の第5音(属音)を主音として並べたもので、元々のメジャースケールと比較すると第7音が♭していることになります。

例:

E♭ major scale E♭ F G A♭ B♭ C D E♭

B♭ mixolydian mode B♭ C D E♭ F G A♭ B♭

4和音のダイアトニックコードは、

I7 (1,3,5,♭7), IIm7 (2,4,6,1), IIIm7-5 (3,5,♭7,2), IVM7 (4,6,1,3), Vm7 (5,♭7,2,4), VIm7 (6,1,3,5), ♭VIIM7 (♭7,2,4,6)

となります。主音の完全5度下を主音としたメジャースケールのダイアトニックコードと同じですね(当たり前ですが)。

ということで早速コードを見ていきましょう。

I→♭VII→IV/6→♭VI | ♭VII→I→I/♭7→IV→♭VI | ♭VII→♭VII

Aメロ全体のモードはミクソリディアンですが、♭VIはエオリアンからのモーダルインターチェンジですね。

 

6.Bメロ

Bメロの前半はA♭ミクソリディアンモードです。

VIm7→IIm7→Vm7→I | I/♭7→VIm7→II7 III7 | IV6 #IVm7-5→Vm7→♭VIdim7

II7 III7 | IV6 #IVm7-5が厄介ですね...まずII7はリディアンのモーダルインターチェンジ、III7は保留...IV6は色々ありますがIIm7と構成音が同じです。#IVm7-5は頻出なのでいいでしょう(?)

3度のセブンスコードがメジャーになっているということはリディアン#5とかですか?

最後の♭VIdim7は色々な考え方があると思いますが次の小節のFへ半音下からアプローチするdim、というのが1つ挙げられると思います。

Fミクソリディアンに転調すると、I | ♭VII/1→I | ♭VII/1→I→IIm7/6となります。最後のIIm7/6はFミクソリディアンのダイアトニックコードというよりはサビのGmajのキーのV9sus4の色が非常に濃いですね。

 

7.サビ

I→V7 | III7/#5 (V7/VI)→VIm7→Vm7 | I7 (V7/IV)→IVM7→I/3→IIm7 I/3 | IV II7/#4 (V7/V)→V→Vaug/♭2

0サビはサビの後半部分のみ取り出されている格好でしたが、前半部分もほぼ同じですね。IIIm7から始まるツーファイブの部分がトニックの第1転回形となっています。Foo!の部分は皆さんお待ちかねのアレですね。しくみとしては下記の図のようになっています(画像って便利だね)

f:id:RainGadgetMusic:20200503105137p:plain

ドミナントセブンスD7を用意する。

②ベースがDから裏のA♭へ行く。このときベースと短9度となるAの音は省略する。この時点でコードトーンとしてA♭7-5の形になる。

③テンション9thであるB♭を載せ、3rdのCを省略し、ハイブリッドコードとすると、A♭7-5(9)omit3となる。結果、ベースA♭の上に、E♭♭(D),G♭(F#),B♭(A#)のE♭♭aug(Daug)が載っているDaug/A♭の形となる。

♭5は#4と異名同音、そしてこれを1オクターブ上げてテンションとすると、A♭7(9,#11)omit3,5の形になります。

後半は

I→V7 | III7/#5 (V7/VI)→VIm7→Vm7 | Iaug/♭5→IVM7→IIIm7 | VI7 (V7/II)→IIm7 I/3 | IV II7/#4 (V7/V)→V

ですね、0サビのI7の部分がiaug/♭5に変えられています。仕組みは上で述べたものと全く同じです。このタイプのコードは#IVm7-5ほど頻出ではないですが最近のアニソンではちょいちょい出てくるので雰囲気を覚えておいて損はないです。まあベースとそのトライトーンのaugトライアドと考えたら12通りしかないですからね。

 

8.間奏

I→I→♭VI→♭VII→I→I→♭VI→♭VII→♭III

♭IIIまではエオリアンからのモーダルインターチェンジをやっているような感じですね。♭VI→♭VIIは短3度上のメジャーキーのIV→Vなので最後はB♭に解決しているような聞こえ方です。

 

まさか、TrySailの3人の中で例のコードの入った曲を最初に歌ったのはもちさんでした。アニソンタイプの曲で出て気がちな使われ方をするのでEDMやダンスロックといった曲がメインの黄色い厄介さんやマイナー系ロックでかっこよく決めてくる青い人、ではなく(o・∇・o)というのはなんとなく合っているのかもしれません。

Agapanthus、1公演は行きたいのでどうか中止にはならないでほしいところですね。

【コード進行解説】内田真礼 ギミー!レボリューション

お久しぶりです。アレの影響で色んな現場が消えてメンブレしていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。ぼくは少なくとも向こう3か月の5現場が消えました。

まあ萎えていても仕方がないので今回は内田真礼さんの2nd シングル(ggった)「ギミー!レボリューション」のコード進行を解説していきます。

 

 

1.導入

Key=B♭majです。

作詞:こだまさおり 作曲:田淵智也 編曲:やしきん、お前はなんかの兵器か

 

2.イントロ

0サビは例によって後回し。ギターソロのところからIVM7→III7 | VIm7→IIm7→Vです。III7はV7/VIですがIII7 | VIm7でIIm7から見たツーファイブになってますね、そしてVIm7→IIm7もVから見たツーファイブ。最後はAメロのIへ続くツーファイブ。非常に美しい。このタイアップのアニメのタイトルってもしかして「俺、ツーファイブになります。」でしたっけ❓

これ書いてて思いましたが強進行の連続って書けば済みましたね。

 

3.Aメロ

I→VIIm7-5 | III7(V7/VI)→VIm7 | ♭VIm7→Vm7 | I7(V7/IV)→IVM7→♭VIM7→IIIm7 | VIm7→♭VI6 | V7/7

小倉唯さんの「アップル・ガール」を解説したときにも触れましたがカノン進行の変形ですね。今回はまた違う弄られ方がされているので見ていきましょう。

①カノン進行「I→V→VIm→IIIm→IV→I→IV→V」を用意する。

②ベースがダイアトニックに下降するように転回、または同じ機能をもつコードで代理する。(最後のIIm以外は特に決まりはないのでメロディーに合わせて柔軟に弄ります。)

I→V/7VImV→IV→IIImIIm→V

2小節目と4小節目のコードを、次の小節のコードに対するセカンダリドミナントのツーファイブで置き換え冒頭以外のコードをダイアトニックのセブンスコードにする

I→VIIm7-5 | III7(V7/VI)VIm7Vm7 | I7(V7/IV)IVM7IIIm7IIm7V7

VIm7とVm7との間を半音で繋ぐ♭VIm7を挿入し、マイナーセブンスの平行移動を作る。IIIm7をサブドミナントマイナーIVm7の代理である♭VIM7へ置き換え8小節目のコードへ強進行で向かうように7小節目のコードから2拍ずつコードチェンジさせる。

I→VIIm7-5 | III7(V7/VI)VIm7 | ♭VIm7Vm7 | I7(V7/IV)IVM7♭VIM7IIIm7 | VIm7IIm7V7

⑤8小節目のIIm7を裏コードのドミナントセブンスである♭VIへ置き換える。ついでに最後のV7を第1転回形にする。

I→VIIm7-5 | III7(V7/VI)VIm7 | ♭VIm7Vm7 | I7(V7/IV)IVM7♭VIM7IIIm7 | VIm7♭VI6 | V7/7

説明が無駄に長くて申し訳ないですが、これで原曲のコード進行になりました。

2巡目ではBメロ冒頭のVImに向かうために、最後のV7がV7/VIであるIII7に置き換えられています。

 

4.Bメロ

VIm→♭VIaug→I/5→II7/#4→IIm7 | V→III7/#5 | VIm7→♭VIIM7→♭VIIM7→V→III7/#5

まずは下降のクリシェですね。鍵盤で弾いていたらB♭とDを固定で下のみ動かすアレです。II7はIIm7を飛び越えてVへ向かっているような感じで、そしてVからIII7への進行ですが、強進行の連続ということもできますし、仮にVがV7で、その進行先IM7(9)のルート省略形であるIIIm7がメジャーになったもの、という見方もできると思います。

さあお待ちかねの♭VIIM7ですが、ここでモードが一時的にミクソリディアンになりますね。後半ではメロディがA♭ではなくAになっているので、コードはミクソリディアンだがメロディがアイオニアンに戻りかけている、というような状態になっています。

最後のIII7ですが、これの進行先VImを想定してベースを長3度下のE♭に置くとサビ冒頭のIVM7へ向かう、という流れになります。

 

5.サビ

IVM7→III7 | VIm7→IIm7 | III7→VIm7 | I/4→IVM7→III7 | VIm7→IIm7 | V7→I

前半はこうですね。イントロとほぼ同じなので大丈夫だと思います。

IVM7→III7 | VIm7→IIm7 | III7→VIm7 | I/4→VIIm7 | III7→V III7/#5 | VIm7→IIm7→V

後半ですが、VIIm7の登場で一時的にモードが変わり、Gメロディックマイナーの世界を感じますね。

 

6.間奏・Cメロ・ラスサビ

サビやBメロと同じなので省略。

 

7.アウトロ

YouTubeの方では文字でだらだらと

"B♭majだった曲が最後裏のEmajになってしまいますが、これは♭VI→♭VIIが短3度上のキーのIV→Vに一致することを利用してどんどん転調している感じですね。B♭majでの♭VI→♭VIIはG♭→A♭で、これはD♭majでのIV→Vであり。D♭majでの♭VI→♭VIIはB♭♭→C♭♭で、これは異名同音を利用するとEmajでのIV→Vに相当し、さらにEmajでの♭VI→♭VIIのC→Dを挟んでEに解決。これコード解説ブログに書けばよかったですね(?)"

とか書いていますが、図解するとこんな感じです。

f:id:RainGadgetMusic:20200406092306p:plain

 

以上です。MVが期間限定で公開らしいですね。

【コード進行解説】石原夏織 Blooming Flower

先日在宅してるときに石原夏織はFace to 俊龍しか知らん!wっつってたらオタクから勧められてハマった曲です。

 

 

1.導入

通しでGmajです。ギターとストリングスの融合が非常に気持ちのいい爽やかな楽曲です。

 

2.イントロ

入りはIIm7→I/3→IVadd9→VとIIImがI/3に変えられているもののダイアトニックコードの順次進行、そして♭VI→♭VII→Iと最近のアニソンなどでは定番の同主短調からのモーダルインターチェンジコードを挟んでIに解決。「はじめてのかくめい!」のサビ前と同じ動きですね。(これが言いたかっただけ)

0サビはあとで解説します。 

唄を抜けるとIVM7(9)→V→IIm→VIm→IIm | I/3→IV | V→Iと王道進行から強進行して順次進行、解決のお決まりの流れですね。

 

3.Aメロ

ここはカノン進行の下降形、I→V/7→VIm→IIIm/5→IV→IIIm | VIm→II | II/#4→Vsus4 | Vですね。4小節目をVではなく転回されてはいますがIIImのままにしておくなどカノン進行の源流に割と忠実です。後ろはリズムが弄られていますがI→VIm→IIm→Vの循環コードを基にIをIIImに変更、IImをVのセカンダリドミナントの形に変更、ベースラインを半音で繋ぐようにアレンジ、最後はsus4は挟む、など細工されてこの形になっています。

2巡目はIV~以下がIV | V→IIIm | VIm→IIm | IIm7/5→Iになっています。王道進行からのツーファイブとポップスドベタ街道でいい感じです。最後V7ではなくIIm7/5の形にしているのはメロディに合わせてリハモしてV9sus4のサウンドになっている、ということです。

 

4.Bメロ

IVM7→IVm→IIIm7→♭IIIdim7→IIm | IIIm→IV | #IVm7-5→V

最初の4小節は4-5-3-6の王道進行をベースにしつつVの代わりにSDmのIVmを、そしてここすごいなという感じですがVImの代わりに入るのはなんと♭IIIdim7です。SD-SDm-3-6の流れはまあ結構あるっちゃあるのでいいですが♭IIIdim7入れてしまうのは編曲の力の見せ所ですね。これを作曲の段階で入れる勇気はなかなか出ないと思いますが俊龍氏ならどうですかね。王道進行と順次進行の間をディセンディングディミニッシュで繋ぐアレンジ力が本当に素晴らしと思います。

後半は順次進行ですがIVとVの間にV7/Vに9thを載せてルートを省略した#IVm7-5が挿入されています。

 

5.サビ

来ましたよカノン進行の原型。1巡目はI→V→VIm→IIIm→IV→I/3 | VIm→IIm | IIIm→IVm | Vです。1-5-6-3-4-1まで同じですね。IV→IIIm | VImの流れが割と一般的ですがここではベースを3に残しつつメロディに合わせてリハモされている感じですね。VImから強進行して順次進行ですがIVmajではなくIVmになっているところでまたしても「お!?」となりますね。王道進行カノン進行とかなり使い古されている進行をところどころ弄ってユーザーを飽きさせない工夫が随所に散りばめられている素晴らしい楽曲ですね(べた褒め)

2巡目はIV~以降がIV | V→III7/#5 | VIm→IIm | IIIm→IV | V→IVm→Vとなります。III7はV7/VI、最後はSD-Dの繰り返しですが2度目はまたもやSDmですね。

 

6.間奏

I→V/7→VIm→IIIm→IV | V→III7/#5 | VIm→IIm | IIIm→IV | V→Isus4 | Iと、サビの2巡目をベースにしつつちょいちょい変えてあります。

 

7.Cメロ

Aメロのメロディ違いです。

 

メジャーキー俊龍は、いいぞ

 

【コード進行解説】DIALOGUE+ 好きだよ、好き。

田淵智也先生には一生逆立ちしても勝てませんね。

まあ殴られているのも非常に気持ちがいいのでいいんですけどね。 

ということで今回は号泣必至、「好きだよ、好き。」のコード進行を解説していきます。

 

 

1.導入

イントロ~BメロがG♭maj 、サビと間奏がA♭majという構成です。サビ前のコードワークに気をとられすぎて、初回に聞いた際に全音転調に気付かなかったのが悔しいところですね(?)

 

2.イントロ

I | IIm→I/3 | IV IVm→I | IIm→I/3 | V/4→I | IIm→I/3 | IV→I/5→V | IV

ルート固定でVの前に置くのはVsus4かI/5かみたいなところありますよね。最後のキメをそのままDでやるんじゃなくてSDに変える辺りにこだわりを感じます。

 

3.Aメロ

I→I/3→IV | V→I | V/7→IV→I→IIm→III7sus4 | III7/#5

V/7からIVに飛ぶのはベースライン的にもドミナントモーション的にも意外な感じがしますね。末尾のIII7sus4 | III7/#5はsus4からメジャートライアドへの戻りと次に待っているVImへの解決感を凝縮したテイストになっていてエモいです。

VIm→IIIm→IVM7 | V→I | I7→IV | V→IIIm | VIm→IIm | Vsus4→I

V7/VIであるIII7を受け代理トニックであるVImからスタート。I/3もIIImで置き換え。順次進行してSD→D→TからのV7/IVのI7、そして4536の王道進行。最後はツーファイブ。美しいですね。個人的にN7(9)sus4を(N+5)m7/Nで書くのは実際にピアノで弾いているときに機能が分からなくなりがちであまり好きではないのでやらない方です。

 

4.Bメロ

IVM7→I/3→IIm7 | #Vdim7→VIm | I7→♭VII | VIm→♭VI6→Vsus4→VI

地味に異名同音ってどう処理していいのか不安になりますよね。この場合だと#Vdim7はV7/VIのIII7(♭9)からの派生コードなので構成音が(B♭<3>,) D<#5>, F<7>,A♭<9>,C♭<11>なので#V~の表記で合ってる...はずです。♭VIIからは半音下降。DとE♭♭って音おんなじやろがい!って思うかもしれませんが、E♭♭6はC♭m7(C♭,E♭♭,G♭,B♭♭)の第1転回形に等しいので今度はE♭♭の表記になるわけです。最後形式上VIで終わっていることになっていますが、Vsus4の小節でG♭majとA♭majの重ね合わせ状態、G♭majの世界ではDですがA♭majの世界ではSD、E♭はA♭majの世界のDということで実質この部分で転調していることになります。

 

5.サビ

I/3→IV→V | #Vdim7→VIm | I→I/3→IV→V | #Vdim7→VIm | V

特に変な部分はないですね。田淵先生は歌詞をしっかり聞かせる場面ではコードで遊ばずに気がしっかり歌詞の方へ向くようにしてくれるのでありがたいですね(?)

IIm | V→IIIm | VIm→IIm | V→IIIm | VIm→IIm | V→#Vdim7 | VIm V→#IVm7-5→IVm | V

2536は4536のSDを代理させたものですね。末尾はSDmを使用してAJIHEN KANG-FU GENERATION。

 

6.繋ぎ

イントロ部分とほぼ同じなので省略。

 

7.間奏

サビと同じ進行が殆どで、末尾のみ♭VII→Vになっています。「はじめてのかくめい!」のサビにもありましたね、ミクソリディアンのモーダルインターチェンジコードです。

 

ショートバージョンが公開されていた頃からメロディーが感動的で「おおこれが真の田淵智也か...」と変なことを考えていましたが、余りにも強すぎて若干混乱しています。公式Twitterによるとぼくらはあと5回先生に殴られるらしいので如何にして昇天せずに済むか考えないといけませんね(?)

6月の単独イベのキャパは800人程度ですがDIALOGUE+ JAM vol.2の落選報告はちらほら見かけるので思った以上に認知スピードが速いのかなと感じています。このまま順調に進めば東京国際フォーラムでのライブも夢ではなさそうですね。「ありえちゃった」が楽しみです。

では。 

今日も心が浄化されました。

【コード進行解説】水瀬いのり Well Wishing Word

さてようやく満を持して水瀬いのりさんの8thシングル「ココロソマリ」が先日発売となったわけですが、バラード、ロック、ポップチューンと3曲それぞれ違う方を向きつついずれも素晴らしいクオリティを誇った素敵な1枚に仕上がっていますね(分かった風に話してるけど実は何も分かっていない)

「僕らは今」はたまに同主短調からの借用だったりセカンダリドミナントが出てくるくらいで特に難しい箇所はないので記事を出す予定はありません。そもそもこのブログも自分の音楽理論の勉強ノートの代わりみたいなもんなのでそういうテンションでお願いします。

変な話しましたが今回は3曲目の「Well Wishing Word」のコード進行を見ていくことにしましょう。

1.導入
Key=Fmajです。転調なし。WWWといえば転調みたいなところないですか?()

 

2.イントロ
まず最初の4小節、I→I VII ♭VII | VI→IIm→IIm IIIm #IVdim | Vです。
前半はメジャーコードを連続して半音下降で鳴らすことで力強さを感じますね。VIはV7/IIなのでIImへ。後半は主に順次進行ですがIVの箇所でIVではなくそのルートを半音上げてV7/Vの役割を持ち、アセンディングディミニッシュである#IVdimに取り換えられています。リディアンからのモーダルインターチェンジと捉えることもできます。
後半はI/3 | ♭IIIdim7→IIm7 | V #IVdim7→I/3 | ♭3dim7→IIm7 | V #IVdim7→IV、3からベースを半音でディセンディングディミニッシュを挟みつつ下ってツーファイブ、さらにパッシング的に#IVdim7を挿入。これを2回繰り返して最後はサブドミナントマイナーです。末尾がSDmだと「お?」ってなってこの後の展開に期待感が出ますね。

 

3.Aメロ
前半8小節、I→I→IV→III7/#5→IVM7 | V→IIIm | VIm→IIm7(9)→V | ♭VI ♭VIIです。III7ってV7/VIじゃないのって思いますが、IVM7のベースB♭の上はD,F,AでVImです。王道進行と強進行、そしてツーファイブ。♭VI,♭VIIは本当に流行っていますね。同主短調Fminからの借用です。
後半はI→I→IV→III7/#5→IVM7 | V→III7/#5 | VIm→♭VII→V | IV、最早ツーファイブのような感じでIImの箇所を♭VIIだったり♭VIIM7でプリドミナント的に置き換えるのは定番の動きです。最後はサブドミナントで締めです。2番ではAメロは後半部分だけ、その上青く色を変えた箇所のIVもIII7/#5に変えられています。

 

4.Bメロ
最初の6小節ははI/3→IV→II/#4→V | V/4→III7/#5→VIm V | #IVm7-5です
Aメロ末尾のIVから順当にベースが下って3からスタート、A→B♭→B→Cと半音で上る流れを見せ、V/4、サウンド的だけ見るとV7/IなのでIに行きそうですが、こういう場合のドミナントセブンスは「Star!!」のBメロにも出てきますが、解決を目的とせず、ベースの流れを綺麗になるように調整した結果サウンドだけドミナントセブンスの形になったものですね。その後はV7/VIを挟んでVIから下降していきますがここでもIVM7ではなく#IVm7-5が使われています。リディアンサウンドがこの曲は多めで楽しいですね。
次はIIm7 IIIm | IV→N.C.→IIm7 IIIm | IV→N.C.ですね。ここはダイアトニックの順次進行なので大丈夫ですね。N.C.部分で入ってくるクラップやベースソロが非常にいい味出してますね。
IIm7 IIIm | IV→IIm7 IIIm | IV II/#4→V→♭VI | ♭VII、最後のIVの後はV7/Vを挟んでVへ、そして同主短調からのコード借用で全音でIへアプローチします。

 

5.サビ
今更ながらこの曲アンティシペーションだらけで、コードチェンジのタイミングが半拍食ってるので正しい表記ではないですが許してください。前半8小節はこんなです。
I→V/7→Vm/♭7→VI7→IIm→♭IIaug→IV/1→V、Iからベース半音下げ、Vm/♭7はミクソリディアンのモーダルインターチェンジと云えなくもないですが、メロディーに含まれるAの音やその後のV7/IIも含めて考えると実質的にはIImのセカンダリドミナントのSDm→Dかなという感じがしますね。そしてIImからベース下降型のクリシェ。IV/1の後ろはVIIm7-5のこともありますが、この曲のようによりドミナント色の強いVで代用されれることが多々あります。
2巡目、まず最初の8小節はI→IIIm7/7Vm/♭7→VI7 VIdim7 | VI7→IIm | V→III7 | VIm→♭VI | ♭VII→I | #Idimですね。

V/7だった箇所、メロディとしては1巡目でも3度の音は入っていましたが、伴奏側のコードトーンとして迎え入れることでダイアトニックコードであるのに雰囲気がかなり変わる印象を受けます。VI7の箇所はVIdim7になったりしてびっくりしますが、メロディに合わせてリハーモナイズしているだけで全体としてはVI7のままですね。その後、王道進行でなくてもそうですが、IVの箇所を同じ役割を持つIImに置き換えてしまうのはよくある話ですね。最後は#Idimで半音下からIImへアプローチ。

IIm7 | IIm7-5→I/3 | ♭IIdim7→♭VI→♭VII→I、♭IIdim7→♭VIは強進行で繋げてあります。

 

6.間奏

I→I→I→I→Im→Im→IIm7 | IIIm7→IVM7 | V

最初の4小節はコードこそメジャーでいきますがメロディはマイナーになっているという上下でスケールの違う形になっています。「ようこそジャパリパークへ」のAメロでも見られる形ですね。

 

7.Cメロ

IV→IVm→IIIm7→V7→IIm→III/#5→VIm | ♭VIaug→I/5 | #IVm7-5

最初の8小節は王道進行の変化形とその末尾をセカンダリドミナントとした動き、そして半音下降という綺麗な流れですね。

IV→IVm→IIIm7→VI7(♭9)→♭VII | IV/6→♭VIdim7 Vdim7 | IV #IVm7-5→V

後半はカオスそうな動きをしていますが、前半部分は前と同じですね。VI7から♭VIIへの進行ですが、まずVI7はV7/IIなのでIImに行く、その上でベースをDから半音上げてE♭へもっていく、とすればコードの動きもベースラインも綺麗に収まっていることが分かりますね。♭VIIからVdim7まで半音下降、ここはdim7が連続するのでかなりスケールの怪しい感じを醸し出していますね。

 

 

どうですかね、Well Wishing Word。購入から2週間が経とうとしているのに未だ歌詞をしっかり聞けていないのでなんとも深いところまで話ができないのが残念ですが(歌詞を聞こうと思ってもバックの楽器隊が楽しすぎてそっちに意識を持っていかれてしまうので)、WWW!柳舘周平!みたいなのを想像していたので入りのダンダカダカダカでまずビビりましたしラパパデュワデュワってFmajのスケールで歌い始めてしまったので予想と大幅に食い違うものでしたが、めっちゃ楽しいので満足です(?)伴奏は鬼のように難しいですけど(ぴえん)

Bメロとかクラップ入れるもよしベーシストの顔つきになって多動するもよしで非常にライブが楽しみですね。せっかく今月働きまくって富豪になったのでツアー回れる限り回りたいところです。では。

【コード進行解説】水瀬いのり ココロソマリ (*∂v∂)👉🌸

いや、ヤバいですねこの曲は。
ついに水瀬いのりさんの8thシングル「ココロソマリ」が先日発売になり、早速意識を失って耳コピしたわけですが、大満足のバラードでございます。当方も町民集会で初めて聞いた身だったのですが良すぎて途中から頭抱えてました。

ということで今日はそのココロソマリのコード解説をして優勝していくことにするわ...(ねっとり)

 

 

1.導入
イントロ~BメロがKey=Gmaj、その他はKey=Amajです。水瀬いのりさんの曲での全音転調はココロソマリが初ですね。

 

2.イントロ
この曲がGmajであることを確信したことで有名な最初の2小節(?)は順次進行で始まります。IV(9) | I/3→IIm | Iです。順次進行でいうとベースが3度の箇所はIIImが用いられるのが通例ですが、この辺りはメロディと相談してI/3に変わったりします。
3小節目に入るとストリングスが参加してきてIVM7(9) | I/3→IIm7 | V7(♭9,11)と末尾がツーファイブになり、コードトーン的にもかなり豪華なサウンドになっています。V7に乗ってくるテンションは通常長9度、完全11度、長13度が想定されますが、9度の部分が短9度に変化して、Dミクソリディアン♭9(D,E♭,F#,G,A,B,C)のコードスケールとなっているので、ここではGハーモニックメジャー(G,A,B,C,D,E♭,F#)の世界観が持ち込まれているということになります。


3.1番Aメロ
割と重いので4小節ずつ切りますね。前半はIadd9 | #Vdim→VIm7 | ♭VII→IVM7(9) | IIm7 VIm7→#IVm7-5 | IV/5 IVです。イントロ末尾のツーファイブを受けてトニックからスタート、#VdimはV7/VI(V7 of VI)、今後この書き方が増えると思いますが、要はVIのセカンダリドミナントだよということです)のルート省略形、半音上がって♭VII、変進行してIVM7(9)、そこからはII7(9)を目指すリレティッドIImとV7/II(形こそマイナーですが)を1拍ずつ鳴らしてII7のルート省略形の#IVm7-5にたどり着きます。IV/5って何だよってなりますけど#IVm7-5の解決先を考えるとV7sus4(9)という感じがしますね。順次進行で最後はIVに落ちます。
後半4小節は順次進行の流れを汲んでI/3から始め、今度は上昇してIVへ、I/5とVImの間にV7/VIの代理の#Vdim7を挟んであります。強進行してツーファイブワンといくのかと思いきやVIm7(9)に代理解決。平行調のEナチュラルマイナーの世界観に引き込まれます。

 

4.1番Bメロ

 

IVM7→I/3→VIIm7-5 III7/#5 | VIm7→#IVm7-5 | V/4→IIIm7 | Im/♭3→IIm7 | IIIm7→IV | V VIです。

まずサブドミナントからトニックに進行しつつ、ベースは半音下降で終止ではないことを匂わせます。次はVIm7を目指すリレティッドIIm→V7/VI、VIm7の進行先としてIIm7とかV7とかがありますが、ここではIIm7を採用した後にメジャーに変えてテンション9thまで載せてしまっておまけにルートを省略された#IVm7-5の形で用いられています。そこから半音で同主短調の雰囲気をぶち込みつつIIm7まで下った後は順次進行。最後は全音でメジャーコードを連続させることで強い転調感をもたらします。町民集会では「は!!????!?!?嘘だろ何が起きた???」ってビビりながら聞いてましたねここは。半音下降の部分ははじめてのかくめい!とかで聞きなれていたので曲とシンクロできていただけに強い衝撃を受けました。

 

5.サビ

えーっとここまで気合い入れて書いておいて何ですけど最初の4小節、東山奈央さんの「群青インフィニティ」と全く同じ進行なんですよね。そっち見てください()

 raingadgetmusic.hatenablog.com

その後はIVM7 | IV/5→#Vdim7 | VIm7 I/5→IIm7 | V7→Iとセカンダリドミナントを挟みつつ順次進行やツーファイブワンなど基本的な進行で構成されています。#Vdim7はV7(9)/VIomit1ですが、進行先のVIm7に対して半音下からアプローチするアセンディングdimなんて呼ばれたりもします(パッシングdimの一種)。その後はIVから順次進行で下って最後は♭VIIで同主短調風味のアクセント付けをしてからV7→Iで〆ですね。

 

6.繋ぎ

I IIm I/3→IV V VIm→IV(9)→II/#4 | Vsus4 Vです。

 

普通の曲ならここで間奏の解説始めたりするんですが、この曲の編曲を担当されたのはなんと白戸佑輔先生。1番と2番で同じコード進行を使うことはほぼありません。ということで明らかに変わった部分を赤くしながら2番の解説に入ります。

 

7.2番Aメロ

前半はIadd9 | #Vdim→VIm7 | ♭VII→IVM7(9) | IIm7 VIm7→#IVm7-5 | V V/4です。最後の2拍のコード変わったの見逃がしませんからね。

後半はもう耳塞いでも分かるんじゃないですか、VIm7 | V/7I #Vdim7 | VIm7 I/5→IIm7 | IV/5→I | IV/1 Iです。

1番ではB→C→D→D#→Eと上がっていたベースがE→F#→G→D#→E→Dってなっちゃうんですから編曲の力って偉大ですね。同じメロディに対して全く違う響きのコードを当ててしまう白戸氏の特徴が滲み出ています。最後のIV/1→IはSD→Tのベース固定型でなかなかの解決感が感じられます。SDをSDmとしてもオシャレに決まります。スリーコードは中々有用性が高くていいですね。

 

8.2番Bメロ

2番は転調してないですね...なんてこった。

前半4小節はIVM7(9) | VVIm7 | IIm7IVM7 | #Vdim7→VIm7 | Vm7 I7です。聞きましたか皆さん最後のツーファイブを。この後絶対IVM7だと思いますよね。思いませんか?

後半は#IVm7-5 | V/4→IIIm7 | ♭IIIdim7→IIm7→IIIm7→IV | V VIです。

#IVm7-5の前にVImがいない上にこれの前がリレティッドIImとV7/IVなのでC#m7-5の意味合いが変わってきます。といっても簡単なことで、I7の解決先IVM7(C,E,G,B)のルートを半音上げたものがC#m7-5(C#,E,G,B)というだけです。♭IIIdim7はIIm7に対して半音上からアプローチするディセンディングdimです。

 

9.2番サビ

前半4小節は1番と同じ、後半はIVM7 | IV/5→#Vdim7 | VIm7 I/5→II7/#4 | V7→Iとなります。ツーファイブのツーがメジャーになりV7/Vとなった格好です。

 

10.間奏

IV(9) | I→V/7 #Vdim7 | VIm7→I/♭7→Vsus4 V

特にひねりはありません。I7はV7/IVですがIVには行かずVの方へ向かいます。アニソン系でも偶にこういう解決を目的としないドミナントセブンスもあるので要注意ですね。

 

11.Cメロ

IIm7 V7 | I→IV V | I→♭VII IV/6 | I/5→III7 III7/#5 VIm→♭VII→♭VII→Vsus4 | V/4→I/3 | V

ツーファイブワン、SD→D→Tは大丈夫ですね。次はベースをG,F#,Eと下らせるライン、III7はV7/VI、その次の2小節連続して♭VIIを鳴らすことで、かなりミクソリディアン色を出したサウンドに。最後はベースをE,D,C#と下らせ、Vで締め。

 

12.落ちサビ

I→I(9) | IIIm/7VImVm | I→IV→III7 #Vdim7 | VIm7→II7/#4→V

I(9) | IIIm/7の箇所は元々V7/VIだったのでかなり違う印象を受けますね。VImの手前でベースをG#に置くことでスムーズな繋ぎを実現。この辺からメロディーも弄り始めてこの後の展開のさらなる変化を予想させています。

 

13.ラスサビ

基本1番と同じで、その8小節目と9小節目の間に以下が挿入された形です。

(8)→II7/#4 | V7→I | VI7→(9)

VI7はV7/IIだからIIm7に行くんじゃないの?というのは正しいですが、行き先のIIm7はよく見るとルートBの上はD,F#,Aなので、もちろんVI7からIVに進行できます。

唄が終わるとIV(9)→I/3 | IVm/5→Iと進んで終わります。

サブドミナントで解決を保留するというのはよくあることですね。IVm/5はサブドミナントマイナーの香りを漂わせつつEをベースに持つコードで書き直すとE7(♭9,11)omit3,5となり、SDmを匂わせながらドミナントの顔ももちつつ、ハイブリッドコードの状態で不思議な響きをもったコードです。最後の最後ですごいのを持ってきましたね。

 

以上となります。毎回言ってる気がしますが水瀬いのりさんの曲は攻撃力が高いですね。うるさい感想などはYouTubeの方に書いていますのでそちらの方も何卒よろしくお願いします。

では。

よい子のい○りまちのみなさんはぼくの分までMVもしっかりチェックしましょう。